【第21回】社員と共に日本一の看板屋をめざす (株)ブンカ巧芸社 代表取締役 峯元信明氏(鹿児島)

峯元社長

(株)ブンカ巧芸社 代表取締役 峯元 信明氏(鹿児島)

社屋

 (株)ブンカ巧芸社(峯元信明社長・鹿児島同友会会員)は、先々代である祖父が1958年に設立した看板屋です。現在は、トータルサイン&ディスプレイの企画・デザイン・製作・施工をワンストップ経営で行っています。2013年、設立55周年を機に二代目である父親から経営のバトンを引き継ぎました。
 峯元氏は、看板製作工場内の家で育ち、物心がつく前から塗料の匂いや鉄工所の騒音を聞いてきました。大学進学前に家業を継ぎたいと考え、鹿児島大学工学部建築学科に入学。卒業後は福岡の建設会社に3年間勤務し、2004年に同社に入社しました。
 鹿児島同友会に入会したのは2007年。峯元氏は、近い将来やってくる「社長」という肩書きをどのように背負うべきか、父が社長であるうちに自分を磨き、行動し、失敗もたくさんしようと考えました。まずは、「経営指針セミナー」を2009年と2010年に受講し、経営理念を成文化。その後、同友会の共育塾など積極的に実践の場を活用し、本格的に求人活動を始めたのは3年前です。

人が育つ会社に

 峯元氏が入社したころは、経験があり即戦力になるということで、人材確保は主に中途採用でした。しかし、即戦力になるどころか離職率も高く、常に新しい人間で会社が回っている状態でした。看板屋の仕事はすそ野も広く、経験があってもできないことはたくさんあります。社員からは、「中途採用なのにできないなんて」という雰囲気になることもしばしば。はじめは、人が辞めるのはその人に能力がないからと人のせいにしていた峯元氏ですが、社員が辞めるのは会社の受入れ体制の無さが原因ということに気づきます。

 そこで、まず取り組んだのは「共育マニュアル」の作成です。その中身は、経営理念・社員名簿・組織図・1カ月間の研修内容などをまとめたものです。「マニュアルの活用によって定着率も向上し、一緒に働く社員さんたちも教えることで大きく成長したことを実感できました。真っさらな新卒者を採用し、社内で共育することができればもっともっと社員の成長につながると考えました。まさに同友会で学んだ『共に育つ』です。これまでの中途採用とは違い、知らないで当たり前、できなくて当たり前。社員も新入社員に対し育てることに一生懸命になり、お互いに成長する姿を目にし、会社が少しずつ変わっていくことを実感しています」と峯元氏はいいます。

自分たちの会社は自分たちの手で

社員さん

 今年の会社説明会は、少しでも多くの学生に来場してほしいと、同社が店舗デザイン・内装・看板のトータルプロデュースをしたカフェで行われました。予定していた2回の説明会はどちらも満席。学生にいち早く同社がどんなことをしているのかわかってもらうために、いつもとは違った場所での開催となりました。この企画は、同社の特色でもある社内委員会活動で考えたものです。「自分たちの会社は自分たちで良くしよう」をテーマに、「広報委員会」「ふれあい委員会」「環境委員会」「共育委員会」「トータルサイン委員会」「コミュニティ委員会」「未来創造委員会」の7つが活発に行われています。

 この活動が始まったきっかけは部署間の連携の悪さがありました。毎年、委員長は交代し、役職の無い社員が委員長を務め、委員長は社長が指名します。これは、役割を与えられたことによって人が育つという思いからです。

共同求人活動の輪を広げたい

 2014年度より鹿児島同友会求人・共育委員会の理事として地元の大学との連携や社員と経営者の共育塾、企業ガイダンス、インターンシップなどさまざまな活動を担っています。

 「人口減少が進む中、地元に若者を残し、育てる活動を自社だけでなくもっとたくさんの企業を巻き込んでやっていきたい」と峯元氏。地域に魅力的な中小企業が増えることが、雇用を守り、地域経済を支えることになります。

 社員とともにこれからも成長していきたい。36歳の挑戦はまだまだこれからです。

会社概要

設 立:1958年
資本金:2,000万円
年 商:8億2,000万円(2014年6月期)
事業内容:各種看板の企画・製作・施工
     各種イベントの企画・製作・施工
     店舗内外装の企画・製作・施工
従業員数:51名
所在地:鹿児島市石谷町3655
TEL:099-295-4700
URL:http://www.bunkakougeisya.jp