シリーズインデックス:わが社の事業承継

【16.07.06】【第12回】経営者としての考え方を引き継ぐ (株)ハイデックス・和島 取締役会長 和島 英雄氏・代表取締役 和島 英貴氏(北海道)(2016.07.06)

和島英雄会長と和島英貴社長 (株)ハイデックス・和島 取締役会長 和島 英雄氏・代表取締役 和島 英貴氏(北海道)(2016.07.06)

(株)ハイデックス・和島(和島英雄取締役会長、和島英貴代表取締役、北海道同友会会員)は、1976年に現会長・英雄氏が29歳のときに創業した測量会社です。

 英雄氏が事業承継を意識したのは、55歳を過ぎたころです。当時は事業承継についてあまり考えていませんでしたが、「年を取ってから継ぐのは大変だぞ。若くてやる気のあるときに継いでもらったほうがよい」と先輩経営者からアドバイスを受けたのをきっかけに、2003年に入社した息子・英貴氏への社長交代を決意。準備期間を5年と決めて65歳で社長交代をしました。

大事なのは経営者としての考え方

社屋の前で  英貴氏は、「準備期間の5年間で『経営者としての考え方』を引き継ぐことを強く意識した」と言います。特に「人間関係の構築」については、父・英雄氏から「俺は車で年間3万キロ走ってきた。その蓄積がお客様との距離を近くした。お前も3万キロは走りなさい」と薫陶を受け、以降顧客訪問の走行距離は常に3万キロメートル以上。社長になった今でも毎月2週間は全国を飛び回る日々です。

 英雄氏も「私も息子と同じく一番には『考え方』を引き継がせようと思いました。考え方が継がれていけば、会社は繋がっていくと信じていました」と当時を振り返ります。

マウンドから見える景色

 英貴氏に事業を承継するにあたり、英雄氏は自分のやり方や実績を押しつけず、「やってみなはれ」を心がけました。「リレーには、バトンゾーンというのがあります。早くバトンを渡してもファール、渡すのが遅くなってもオーバーゾーンでファールです。これは事業承継にも当てはまると私は思います」と英雄氏は語ります。

 一方の英貴氏は、北海道同友会札幌支部の後継者部会「起望峰」に入会。当時、部会の仲間には、「俺は執行猶予5年だ」と話していました。「社長になるまであと5年」ということです。「5年あったので、私はじっくりと引き継ぎができていると思っていましたが、それは間違いでした。社長にならないとわからないことがあるんですね。野球でいうと私はずっとブルペンにいたんです。マウンドに立って見た景色は、まったく違うものでした。きっと、自分の後ろには社長がいてくれるという気持ちがあったのでしょう」と英貴氏は言います。

不安の中での承継

3D計測機器を装備した車両  2012年1月、東日本大震災から間もない時期に社長を交代。メインの事業である電力会社の送電線路の測量設計やマッピング・送電線に関する管理保守が、震災でどうなってしまうのか、不安だらけの英貴氏の背中を押したのは「3万キロ走りなさい」の英雄氏の言葉でした。お世話になってきたお客様のもとに徹底的に足を運ぼうと決めて実行。それが少しずつ新たな仕事へとつながり、東北の復興事業の受注も拡大していきました。そのときの仕事のつながりによって東京から声がかかるようになり、2014年には本格的に本州での事業を拡大するため、東京支店を設置するに至ります。

 また北海道ではまだ事例が少ない3D計測の技術を導入。3Dスキャナー、GPS、カメラを一体化システムを搭載した車両やドローンなど、最新の機器を駆使して短時間で確実な測量を実現。同社の技術力が新たな顧客開拓につながっています。ドローンの操作を担当しているのは中国人の社員です。技術革新に率先して取り組み、新しい力を社内に積み上げていく上で大きな力を発揮しているのは、同友会大学の卒業生たちです。既に6名の幹部が卒業しています。

会長の役割

 承継当初は英雄氏も指示命令を出していましたが、社員から「会長の話を聞けばいいのか、社長の話を聞けばいいのか」という問題が起き、「今は自分を出すことを極力控えている」と言います。

 2015年は、ガンや心筋梗塞で3名の社員が亡くなりました。そのことにショックを受けた英雄氏・英貴氏は、「亡くなった人に恥ずかしくない生き方をしよう」と社内に呼びかける一方、社内全体で健康維持・メンタルヘルスに力を入れることを決意。2016年度の経営指針の中で「全員の『健康大作戦』で、家族も会社もニコニコに!」を掲げています。「社員の体調や精神状態をチェックして改善につなげるのは会長の役目です。私が気づいて声をかけても、立場があるので社員は正直に話してくれませんから」と笑って話す英貴氏。英雄氏も「社員の様子がおかしいな、と思ったらすかさず声をかけ、原因を一緒に探り、改善を促しています。とにかく声をかけてコミュニケーションをとることが大事」と語ります。

なぜ事業「承継」なのか

 なぜ事業「継承」ではなく「承継」なのか。英雄氏はこの言葉にこだわります。「承継は承(うけたまわ)ること、継承は継ぐことです。事業を繋いでいくことは、受け取る人間に承る気持ちがあって初めて成り立ちます。私が息子に継がせようと思ったのも、彼に承る気持ちがあったからです。会社をつないでいくため、よい会社にするための流れの中に事業承継はあるのだと思います」。

 事業承継から4年。ハイデックス・和島は、経営者としての想い・考え方を受け継ぎつつ、新たなチャレンジを推し進める英貴氏と、それを内から支える英雄氏の二人三脚で強固な地盤づくりにまい進している最中です。

企業概要

創 業:1976年
設 立:1978年
資本金:2,200万円
事業内容:測量および設計、海洋調査測量、アートマッピング、情報開発
従業員数:30名
所在地:北海道札幌市東区北34条東7丁目2-16
TEL:011-704-3856
FAX:011-741-0545
URL:http://www.hidex.co.jp/index.php

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