【第9回】事業再構築!新分野展開!魚食文化を盛り上げる!! (株)山吉 代表取締役 山吉 隼人氏(福島)

(株)山吉 代表取締役 山吉 隼人氏(福島)

 (株)山吉(山吉隼人代表取締役、福島同友会会員)は鮪を主要品にした鮮魚仲卸業を営んでいます。1999年に山吉氏の父が創業し、2017年に事業承継されました。現在は、地元小売店や飲食店、宿泊施設など福島県郡山市の鮪シェアの約9割を供給しています。お客様に寄り添ったお取引をモットーに、多様なニーズに対応できる(株)山吉は、お客様目線から見ても選ぶメリットは多いのでしょう。しかし、昨年から流行している新型コロナウイルスにより、状況は一転しました。弊害は、(株)山吉はもちろん、業界そのものを蝕んでいます。

売り上げがほぼゼロの月も

 新型コロナ感染症拡大に伴い、全国的な緊急事態宣言、福島県独自の緊急事態措置などで受注が大幅に減少、特に昨年4月、5月は宿泊施設への売上がほぼ0と凄惨を極めました。年間通しての売上も前年比-21.9%、金額にして約3億円の収入減となり、ゆくゆくはテイクアウトの店として開こうと思っていた物件の改装も手付かずでいたそうです。9月現在、福島県ではまん延防止等重点措置が適用されており、解除されてもコロナの収束はいつになるのかわかりません。「この先どうなるのか」という危機感と不安は誰しも抱えていることでしょう。そんな折、山吉氏は同友会の仲間から「こんな時だからこそ使えるものは使った方がいい。業種に当てはまるような補助金もあるんじゃないか?」とアドバイスをもらいました。そうして探しているうちに、「事業再構築補助金」という制度に行きつきました。

新分野展開!生鮮鮪を生かした事業を!

 事業再構築補助金とは経産省で出している施策の一つで、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大などに積極的に取り組む中小企業を支援する制度です。事業再構築にはいくつかの類型があるのですが、山吉氏はその中で「新分野展開」をめざすことにしました。新型コロナウイルスによる現在の市場動向や消費者ニーズ等の外部環境の変化をチャンスと捉えて、生鮮鮪を生かした中食テイクアウトおよびEC販売事業への展開を柱に据えました。結果、同友会はじめ、地元商工会の優秀な経営指導員の手ほどきもあり、事業計画書を作成し、無事に採択されました。「採択された事はもちろんうれしかったのですが、それ以上に今こんな時期だからこそ、事業計画書をゼロから作ること自体が、自分にとって本当に勉強になりました」と山吉氏。BCPの重要性を改めて感じました。

いま何ができるか、これから何ができるのか

採択されたことで、一般消費者に向けたアプローチがしやすくなり、(株)山吉としての認知度、ブランド力の向上も見込めるといいます。店舗事業を行うことで、地域の雇用創出にも目を向けています。山吉氏のように、こんな時だからこそ、今何ができるのか(ウィズコロナ)、これから何ができるのか(アフターコロナ)を、戦略課題を立てて、考えてみるべきなのかもしれません。

経営理念

1.私たちは、魚食文化の担い手として、心豊かな食生活をお届けする企業を目指します。
1.私たちは、自然の恵みに感謝し、食育食楽で地域社会に必要とされる企業を目指します。
1.私たちは、子供たちに誇れる仕事を通し、夢と愛情あふれる企業を目指します。

会社概要

設立年:2001年12月
資本金:300万
従業員数:18人
年商:12億円
事業内容:鮮魚仲卸
住所:郡山市大槻町字向原114(水産棟内)
電話番号:024-966-0650
URL:https://kk-yamayoshi.com/