「一社もつぶさない」―そのためにできることは?
渡辺修士氏
「うちの事業で、飲食業の仲間を元気にできないだろうか?」新発田市で大型車輛・特殊車輛の修理・製作をメイン事業とする渡辺修士氏((株)弘新機工代表取締役、新潟同友会会員)のこの想いがはじまりでした。新発田支部エリア(新発田市・聖篭町)は、伝統の食文化と豊かな水資源を背景に食品製造業・加工業が多く、農業も盛んな地域です。飲食業を営む会員も多く、コロナ禍で苦境に立たされる仲間たちの様子を見る中で、懇親会を開催できない状況でも例会時にオードブルを取りまとめて注文するなど、「一社もつぶさない」ためにできることを模索し取り組んできました。自社事業として、もっと直接的に何かできないか・・・そのアンテナに「キッチンカーのレンタル事業」がひっかかりました。コロナ禍を受けてキッチンカーでテイクアウトを始める飲食店は多くありますが、車両購入費、維持費、駐車場代等々を考えているとすぐには決断できません。レンタルであれば、そのハードルを下げることができます。レンタル事業の拡大により収益の柱を増やしたいという目的もありました。
学校給食ストップ!!
宮崎伸洋氏
新潟市東区で学校給食・保育園給食の食品卸販売をメイン事業とする(株)給材(宮崎伸洋代表取締役、新潟同友会)は、新型コロナウイルスの拡大で大打撃を受けます。2020年3月2日から新潟市内の小・中・高等学校が臨時休校となり、売上構成比の65%を占める食材供給がストップするという事態に。2月に入り急激な感染拡大状況となってからその可能性を予測していた宮崎氏は早速行動に移します。3月2日に社内で緊急ミーティングを行い、「私は皆さんの雇用を守ります。皆さんはこれまで学んできたことを現場で実践しましょう。笑顔で頑張ろう!」と想いを伝え、これまで通常業務に手いっぱいで挑戦できなかったこと、今だからこそできることは何だろう?こんな時こそ、楽しく仕事するには?と社員全員で話し合いました。
そこで生まれた実践の一つが「生活応援弁当」です。突然行き場をなくしてしまった栄養バランスの取れた食材を、地域の方々に楽しんでもらう機会をつくり、家計負担軽減・食事支援につなげてみては?という発想からの挑戦でした。当初は会社の入口スペースを販売用に使っていましたが、その後、社屋の一角を増築し、常設の販売店舗「和縁-WAEN-」を2020年9月にオープン。そこでは、自社開発商品の米粉カレーパン(カレールゥ・パン生地に新潟県産米粉を使用)も人気商品のひとつとして販売しています。
例会から3週間のスピードオープンーつながって広がる可能性
浅野政和氏
2021年8月、「新しいビジネスの形を探しませんか?」と題した新発田支部オンライン例会で、渡辺氏からキッチンカーのレンタル事業が紹介されます。その参加者の中に、宮崎氏と、飲食店を経営する浅野政和氏(ホウセイマル(株)代表取締役、新潟同友会会員)がいました。浅野氏は、渡辺氏の考え・事業に賛同し、「道の駅豊栄」での出店者募集情報からの申し込み、キッチンカーの保健所申請などの諸手続きを即座に行い、例会開催から約3週間後の9月18日、キッチンカーの移動店舗をオープンさせました。販売商品は(株)給材の米粉カレーパンです。現在、土日祝日は道の駅豊栄に、火・木・金曜は新発田市役所広場に出店。多い時で1日400個近くが販売されています。さらに、このコラボをきっかけに、実店舗「ほうせい丸」では、米粉カレーパンを使ったグラタンが新メニューに登場。ファミリー層を中心に喜ばれています。
今後は、飲食業のほかに美容業、イベント関連でもレンタル利用の幅を広げ、ワクワク・ドキドキを届けたいと渡辺氏は考えています。同友会だからこそできる連携・コトづくりに、今後も取り組んでいきます。
会社概要
(株)弘新機工
設立:1980年
資本金:1000万円
従業員数:15名
事業内容:車輛修理
住所:新潟県新発田市曽根278
電話番号:0254-27-2441
URL:https://www.koshin-kikou.jp/
(株)給材
設立:1968年
資本金:1000万円
従業員数:17名
事業内容:学校給食用食品卸、業務用食品卸、米粉ルゥ製品企画販売、オリジナル食品企画販売
住所:新潟県新潟市東区竹尾卸新町801-5
電話番号:025-274-1858
URL:https://www.kyusyoku.co.jp/
ホウセイマル(株)
設立:2001年
資本金:300万円
従業員数:11名
事業内容:飲食店経営
住所:新潟県北蒲原郡聖籠町藤寄2321-4
電話番号:025-386-3587
URL:https://hoseimaru.com-m.jp/