松井エネルギーモータース(株) 代表取締役 松井 健彰氏(富山)
富山県上市町でガソリンスタンド2カ所と、自動車販売整備店の3拠点を運営する松井エネルギーモータース(株)(松井健彰代表取締役、富山同友会会員)。1961年に、松井氏の祖父が自宅の玄関先で日用雑貨店を営んでいたことが始まりで、ご近所の方々が必要な雑貨から、かき氷や大判焼きなどを販売していました。その後時代の変化に伴い、ガスコンロ、お風呂の普及からプロパンガスや灯油を取り扱い、マイカーブームの1970年にガソリンスタンドを始めます。
松井氏は14年間店長を経験し、2010年に3代目として経営を引き継ぎますが、ガソリンスタンド、自動車販売の業界を取り巻く環境は厳しさを増し、そしてコロナ禍が襲いました。
そんな中、600坪もの土地に新社屋、新工場を竣工します。竣工レセプションには、町長をはじめ町の方々が多数集まり、その期待の大きさと、松井氏の熱い思いと覚悟が感じられるものでした。
地域に笑顔と元気を届ける「エネルギーマン」
店長時代から会社は赤字体質で、労働環境などの経営課題も多く、社長就任後すぐに同友会に入会し経営指針を成文化します。
小さな成功もありましたが、その何倍ものうまくいかないことや数々の失敗を経験しました。そんなとき、地元地域の今後に強い危機感を感じ、地域をよくしていきたいとの思いから2014年に「ハッピー上市会」の発足に加わります。地元の企業経営者、行政関係者、学校関係者などさまざまな方が参加し、地域のよいところや課題を知るなかで、自社は地域のためにどう関わるか?と考えはじめました。そして「笑顔と元気を届けたい」という思いから、社員とともにヒーローキャラクター「エネルギーマン」を誕生させます。また、多くの方々が集まるガソリンスタンドの特徴を生かし、地域の方々と地域企業の懸け橋となるイベントを開催。その後も、地域と向き合い、地域の困りごとに耳を傾け、自社ができることとして福祉車両事業や新車販売店を始めました。
このころから、会社は赤字体質から黒字体質に変わります。その要因は、社員が主体的に動き出したことでした。その結果、社員の労働環境も改善されました。上市町では今春、第8次上市町総合計画が発表されましたが、松井氏はこの作成にも大きく関わり、地元経営者としてこの計画(10 年ビジョン)に取り入れられた内容もたくさんあります。
地域の今を未来へつなぐ
活動しているうちに、企業は地域があってこそ存在すること、企業には地域を構成する大きな役割があるということが腹に落ち始めました。地域の今を魅力ある未来へつないでいくことが、自社を成長させ社員満足を高めることになる、そして経営者が学べば、間違いなく企業はよくなり、地域はよくなると松井氏は考えています。
松井エネルギーモータース(株)は、2020年に50周年の節目を迎えましたが、ガソリンスタンド、自動車業界はコロナ禍のため先行きが見えません。そんな中での新社屋、新工場の建設は、この先50年をつなぐためです。「日用雑貨店の創業当時から変わらず地域の声に耳を傾け、商品、サービスを変えながら成長していくこと。そして多くの人々をつないで発信し続け、社員そして地域とともに歩んでいきたい」と松井氏は語りました。
会社概要
創業年:1970年
資本金:1,000万円
年商:4億2,000万円
事業内容:ガソリンスタンド、自動車販売店、民間車検自動車整備工場、自動車保険(損害保険)代理店、福祉車両事業、レンタカー事業、エンターテイメント事業
従業員数:16名
所在地:本社 〒930-0362 富山県中新川郡上市町稗田2-5
ジョイカル上市中央店 〒930-0357 富山県中新川郡上市町正印385
TEL: 076-473-0123
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