東洋物産(株) 代表取締役社長 帆秋慎太郎氏(大分)
業歴75年、たまごのことなら東洋物産(株)
東洋物産(株)は1947年に設立し、食用油、飼料、雑穀等の卸販売を行っていました。その後、配合飼料仕入れ販売を強化し、1961年から鶏卵卸売事業を本格化させました。大分市、別府市を中心に卵の供給に携わっており、帆秋氏は2019年に3代目の代表取締役に就任しました。
経営理念に沿って、「安心・安全・おいしさ」を追求
東洋物産(株)には経営理念はありましたが、経営方針・計画は詳細に成文化されていませんでした。帆秋氏は同友会入会後、経営指針成文化セミナーに2度参加。社員の声を拾いながら業務指針、行動指針などを作成し、毎年経営指針書を更新しています。また、独自で人事評価制度のシステムを構築。成長支援ミーティング(スタッフと上司の個人面談)で立てた目標に対しての振り返りを年4回行い、PDCAを回す体制をつくっています。先代の時に立てた「道徳と経済が一致し、「お客様」、「取引先」、「社員と自社」の繁栄を実現する」という経営理念に沿って、「安心・安全・おいしさ」を大切にし続ける同社ですが、事業承継の1年後にコロナ禍による経営難に直面します。
コロナ禍で新たな取り組みを加速
同社は設立から70年以上経つ老舗企業ですが、新型コロナウイルスの影響で、飲食店やホテルに卸していた卵の出荷が減少。比較的安定している飼料の売上がありましたが、売上が3割ほど減少しました。そこで、商品ラインナップの見直しと業務プロセスの改善による生産性の向上に取り組み、実質無利子・無担保融資や事業復活支援金なども利用し対策を行いました。
さらに新たな取り組みとして、“たまごを主役にする醤油”をコンセプトに「金卵醤油」と「紅卵醤油」というたまごかけご飯向けの醤油を開発しました。これらの商品の販路として、消費者向けのECサイトを開設し、これまでBtoBが主だった事業領域を拡大しました。それに伴い、日本の食文化の価値をたまごでつないでいく「たまとよ」ブランドを2020年に立ち上げました。「豊養卵」、「紅陽卵」、「金卵醤油」、「紅卵醤油」に大分県安心院産のお米「つや姫」を加えた、「開運のたまごかけご飯セット」の販売を始めました。
2021年には低FODMAP食品の開発に着手。FODMAP(フォドマップ)とは敏感な腸を持っている人のおなかで不調を引き起こすとされる、小腸で吸収されにくい発酵性の糖質の総称です。慢性的な腸の不調を抱える病気はIBS(過敏性腸症候群)と呼ばれており、FODMAPを抑える低FODMAP食事法が解決策の一つとされています。日本ではまだ知っている人が少ない状況を鑑み、帆秋氏は低FODMAPの情報サイト「みんなの低FODMAPひろば」を本年4月に立ち上げました。このサイトで認知の普及に努めながら自社の鶏卵を使用した低FODMAP食品の販売につなげていく構想を描いています。
「新しいチャレンジをするたびに、道経一致という経営理念や食品の安全さの重要性について、新たに気づきを得直している」という帆秋氏。古きを温めながら未開の分野への挑戦を続けています。
会社概要
設 立:1947年
資本金:1,500万円
社員数:21名
所在地:大分市金池町5丁目8番12号
業務内容:養豚・養鶏飼料、鶏卵、鶏卵加工品、畜産資材等の販売
URL: https://www.toyotamago.jp/
「たまとよ」https://tamatoyo.jp/