三彩食品(有) 代表取締役社長 谷本 祐輝氏(京都)
はじめに
創業1988年の会社をコロナ禍に先代である父から承継した谷本祐輝氏(三彩食品(有)代表取締役社長、京都同友会会員)。同社は「ごはんを炊くこと」の専門家として、京都・滋賀のエリアで炊飯したご飯を届けています。
突如訪れたコロナ禍
2020年に新型コロナが発生し、緊急事態宣言が発令。主要取引先が、修学旅行生を受け入れる旅館・ホテルが多くを占める同社の売上は、ひどい月で9割減・年間で7割減となりました。「出社しても仕事がなく、2時間ほどで業務が終わる日も少なくなかった」と谷本氏は当時の辛さを振り返ります。必死の思いで、一部取引のあったスーパーや量販店にアポなしで営業に行き、断られる毎日が続きました。そんな中、前社長が「新しい発想でこの難局を乗り越えて欲しい」と以前から準備していた事業承継を2021年4月に実施。谷本氏は会社の舵取りを任されます。
ビジョンの実現がアフターコロナ飛躍の種に
谷本氏はコロナ禍の1年を経て、その中で緊急事態宣言が解除されるタイミングでは、売上が回復することも経験し、コロナ禍への対応やその後の準備に着手します。コロナ禍での対応としては、製造工程が分かるパンフレットへの刷新や、顧客の提供時間に応じて冷めてもおいしいごはんの開発、顧客が自社でごはんを成形しなくて済むように自社で加工して配達することなどの工夫で、顧客からの口コミ紹介が増え、売上増加につなげていきました。また、谷本氏は2020年に京都同友会が開催している「人を生かす経営」実践塾で経営理念・10年ビジョンなど経営指針書を作成。そこで成文化した10年ビジョンである「京都や他府県に三彩食品が根付いて食品業界を引っ張っていき、どの家庭にも三彩食品の製品が置いてある企業になります!」の実現を模索します。現状の自社商品は、工場で炊飯し配達する商品が主なので、他府県を含むどの家庭にも届けるのは難しく、そこから冷凍技術に注目します。商品を冷凍化できれば、商圏は無制限になるだけではなく、取引先がお米の消費量をコントロールしやすくなるため、フードロスにつながることもメリットとして見えてきました。事業再構築補助金を活用しながら設備を導入し、将来的には自社の売上の柱にすべく、ECサイトの作成と合わせて、来年度からの販売準備に取り組んでいます。
「中小企業を支えているのは人」
コロナ禍の厳しい環境でも辞めずについてきてくれた社員や、今後の業務拡大に備えて採用する未来の社員のために、自社の労働環境や働きがいを向上させようと社内整備にも力を入れています。労働環境では、休日数を増やし、残業時間を削減し、ベースアップを実現する方針を立てています。また、働きがいのある会社づくりのために、閑散期などの業務量が落ち着いている時期に、社員が自社の改善提案に取り組める仕組みを作り、社業が自分事になるような工夫をされています。「こうなりたいと思ったことは口に出して人に語る。それが自分の覚悟を高め、応援者を増やす」と語る谷本氏。今後の飛躍が楽しみです。
会社概要
設立年 | 1988年 |
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資本金 | 300万円 |
従業員数 | 13名 |
年商 | 2億円 |
事業内容 | 白飯・寿司飯・かやくご飯等炊飯及びおにぎり、型押しご飯等の製造・販売 |
住所 | 〒601-8151 京都府京都市南区鳥羽羽塔ノ森東向町25-3 |
電話 | 075-661-3081 |
URL | http://sansai-syokuhin.com/ |