(株)山田製作所 社長 山田茂氏(大阪)
順風満帆から一転
(株)山田製作所(山田茂社長、大阪同友会会員)は、山田氏の父親が1959年に金属プレス加工業として創業、1969年に現在地に移転し、会社設立しました。
山田氏は1994年に入社、1997年には弟の雅之氏も入社します。当時は仕事が多くあり、事業は順風満帆でした。しかし1998年の夏、状況が一転して売り上げが激減、翌年1月には月商が従来の5%まで落ちました。山田氏は「このままでは会社がつぶれる」と不安になりながらも、何をしたら良いのかわかりませんでした。
3Sの実践
あるセミナーに兄弟そろって参加したことが転機となりました。3S(整理・整頓・清掃)に関するセミナーで、「これをやるんや」と決意して翌日から着手しました。使う機会のない材料やプレス機など4トントラック3台分を廃棄、続いて整頓を徹底して、いつでも誰でも60秒以内にあらゆるものが取り出せるようになりました。
最後に床を掃除してペンキを塗り終えて寝ころぶと天井のさびが目に入りました。全員で「工場丸洗い」を実行し30日をかけて埃を落とし天井、柱、床を塗装しました。最後に安全通路の白線が描けたときに皆の心がひとつになり、白線を踏まないという不文律ができました。
経営指針にもとづく経営
大阪同友会への入会は、工場丸洗い直後の1999年12月、早速「経営指針成文化セミナー」を受講しました。2001年には社員ひとり一人に行動プランを書いてもらい、経営指針を作成しました。新卒採用を同友会の共同求人を通じて行っています。定期的に新入社員が入ってくることで、社内にはベテランが若手、若手が新入社員を育てる文化が芽生えました。山田氏は「人は、題名のない伸縮自在の袋」だと実感しています。
「危機感はあるが、不安はない」
山田氏は今の状況を「危機感はあるが、不安はない」と言います。今年、大阪同友会経営品質賞・大賞を受賞、さらに中小企業庁の「元気なモノづくり中小企業300社 2009年版」にも選ばれました。「単に図面通りの物をつくるだけではない。製造プロセスにおける管理技術と品質が山田の真骨頂であり、それを裏づけるのが徹底的に3Sを実践した工場」と山田氏は胸をはります。
既存客とは、製造過程の進ちょく情報を共有するシステムが構築されています。また、年間150社700名以上が工場見学に訪れ、その中から新規の取引先が数多く生まれています。さらに同友会主催のビジネス交流展を機会に、中小企業総合展や機械要素展へ積極的に出展し自社の技術力をアピールしています。
山田氏は今年10月に設立が予定されている大阪同友会大東支部の支部長に就任予定です。企業経営にも同友会運動にもさらに力が入ります。
会社概要
創 業:1959年
設 立:1969年
資本金:1000万円
社員数:17名(2009年4月現在)
業 種:製缶・板金、乾燥機及び炉、乾燥機部品、設計開発製品の製作
所在地:大阪府大東市新田中町2-41
TEL:072-871-0095
URL:http://www.yamada-ss.co.jp/