(株)東北消防設備 社長 松田浩氏(山形)
突然、経営者に
松田浩氏((株)東北消防設備社長、山形同友会会員)は1990年、26歳の時に父親が脳こうそくで倒れたため、父親が創業した同社に専務として入社しました。当初は、毎日の経営課題にどう対応して良いか分からず、不安と焦りの毎日を過ごしました。
1人また1人と社員が辞めていく状況に、「どうすれば良いのか」と自問自答していた1998年、山形同友会に出会いました。同友会で耳にした経営指針や経営者の在り方の話を手掛かりに、必死で社員に語りかけるようになりました。
2000年から山形同友会の社員教育委員会の活動に参加。『中小企業における労使関係の見解(労使見解)』を読んで衝撃を受けました。書かれている内容と自社の実態には大きなギャップがありました。しかし「あせらず、せかず、きばらず」と自らに言い聞かせながら、学んだことを一つ一つ会社で実践しました。
10年先の会社を考え、若手社員を抜擢して全社的に育てる環境をつくり始めたのもこの頃です。いつしか社員は会社を辞めなくなっていました。
本当のお客様は誰か
2005年、同友会の学びの中から得た「本当のお客様は誰か」というキーワードを手掛かりに経営理念を見直しました。同社の業務は消防設備の保守を請負うものです。松田氏は「お客様は当社に何を求めているのか」と問いつめて考えました。「任された建物の万全の防火体制を通じて、安全な未来を紡いでいく、そのことが責務であり、次の世代へ安全な未来を残すことが使命」という結論を得ました。
消防設備のメンテナンスでお客と接して、そして天井裏の点検に行くのは社員です。社員がどのくらいこの理念にたって仕事に当たるかは、経営者である自分の志や理念の高さ、社員と共に育とうという日々の姿勢が大切だと考えるようになりました。
また、社員が本当に働きやすい職場をつくることを心掛けていきました。
女性社員の働く環境の整備
特に女性社員の働く環境の整備に力を入れました。松田氏の入社時には2名だった女性社員を1名ずつ増やし現在は7名です。出産や子育てなどで休む時でも、安心して休むことができる体制を目指して取り組んできました。女性幹部の登用も進んでいます。これらのことが評価され、山形県の「男女いきいき、子育て応援宣言」企業に登録されました。
「誰が休んでも心の底から応援できるように、女性にしかできない出産を応援する、誰にでも訪れる可能性がある育児や介護を応援する」ということを実現目標として、社内の「男女活き活き委員会」を中心とした取り組みを展開中です。
「社員教育は社員を教育する場ではなくて、社長が勉強する場」という松田氏、常に「当てにしている。頼んだよ」と心の底から社員を信頼できることが何より大切と感じています。
会社概要
社員数:22名(うち女性7名)
業 種:消防設備設計、施工、保守
所在地:山形市南原町一丁目21-12
TEL:023-622-6543