【第25回】社員と共に地域のインフラとして (株)ODEN 代表取締役 野澤 智一氏(千葉)

(株)ODEN 代表取締役 野澤 智一氏(千葉)

 県都千葉市と外房地域の中間に交流都市として位置し、日本でも有数の天然ガス産地として知られる茂原市。その茂原市と周辺地域にセブンイレブンを5店舗経営する(株)ODEN(野澤智一代表取締役、千葉同友会会員)を訪ねました。

アルバイトで貯めた資本金

 野澤氏は高校を卒業後、専門学校に入学後まもなく中退。車中泊をしながら、牛丼チェーン店でアルバイトをするところからスタートします。しばらく経った頃、コンビニで楽しそうに働く老夫婦オーナーと出会い、その姿に憧れてコンビニオーナーをめざすようになりました。そして23歳の時、アルバイトで貯めた資本金1,000万円を持ってセブンイレブンのオーナーとなり、1店舗目である茂原吉田店をオープンしました。

商売の原点・フランチャイズ本部との衝突

 2011年に2店舗目、2015年に3店舗と順調に出店を進めていきますが、この3店舗目の売り上げが思うように上がらず、思い悩みます。テレビ番組で「行商のおばちゃん」を見かけて地元の高齢のお客さまを思い出し、これからは移動が困難なお客さまのもとにこちらから出向こうと商品の移動販売を始めました。これは高齢のお客さまに非常に喜ばれた反面、フランチャイズ本部からは1社だけ独自サービスを行うことは認められないと衝突することに。

 山間地域と比べれば商業利便性の高い地域ではありましたが、それでも車移動が難しい高齢者は多く、セブンイレブンの看板は使えないため手作りのデザインのトラックに毎回違う商品を積み移動販売を続けました。粘り強く移動販売の価値を本部と交渉を続けて10年目、移動販売事業は公認となり、今では全国で100台の移動販売車が稼働しています。

学びの上辺だけを取り入れてしまうと

 既存店に追加で近隣のオーナーから店舗を譲り受けた頃、千葉同友会青年部ではプレイングマネージャーを脱却し、社長が不在でも会社が回る仕組みを学ぶ例会をシリーズで行っていました。野澤氏もその多忙さと一人で複数店舗を見ることの難しさから、これだと思ってすぐに取り組みます。しかし十分な仕組みづくりや企業文化の醸成もないまま、ただ社員に任せてしまい、各店舗の売上減少やスタッフの離職、横領などの犯罪行為も許す環境にしてしまいました。学びの上辺だけ、聞こえの良いところだけを取り入れ、社員を機械のように捉えて、ただ指示に従っていればいいと考えていた自身の驕りを深く反省します。

 そんな折、新型コロナウイルスの感染拡大により環境は一変します。同友会でいち早く例会をZoomで行っているのを見て、LINEのビデオ通話機能で朝9時に全店舗をつないで15分ほどの雑談を始めました。この雑談のおかげで、各店舗のスタッフ同士も日常的に近況が知ることができ、また経営者自ら店舗に立って率先して売り場を盛り上げることで社員の士気も上がり、売り上げを戻すことができました。

同友会は鎧を脱げた人こそ伸びる

 入会してすぐに経営指針セミナーを受講し、経営指針書を作っていましたが、社内発表会後にスタッフ2名が退職したことがトラウマになっていました。今見返すと社長一人で作った「格好いいことが書いてある指針書」でしかなかったと自嘲気味に話します。

 しかしある時、同友会に誘った後輩の社長から経営計画発表会に来て欲しいと誘われて行ってみると、社員が生き生きとしていた姿に衝撃を受けました。先輩からよく言われていた「同友会は鎧を脱げた人こそ伸びる」という言葉を思い出し、以前の反省を踏まえて社員と一緒に、月2回の会議で半年かけて経営計画を作成し、経営計画発表会を行うようになりました。また社員がずっと働き続けられる環境を整えるべく就業規則の見直しも都度行っています。直近の経営計画発表会で公開した2050年ビジョンでは、国内100店舗に加えて、主力スタッフの母国であるネパールにも1号店を出す絵を描いています。

(株)ODEN
創業 2011年
資本金 1,000万円
従業員数 81名(うちパート・アルバイト76名)
年商 11億9,000万円
事業内容 コンビニエンスストア(食料品、酒類、たばこ、日用品、雑貨類の小売販売)
住所 千葉県茂原市南吉田2980番地
TEL 0475-36-6068
URL https://oden-711.com/