シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【第31回】社員と「共に育つ」同友会型企業をつくる 株式会社ヤマシタ 代表取締役 山下 英一 氏(岡山)(2019.02.13)

 \; (株)ヤマシタ 代表取締役 山下 英一 氏(岡山)

 (株)ヤマシタ(山下英一社長、岡山同友会会員)は、1994年4月創業。造作用集成材の製造・加工・販売全般を手がけ、全国に現在13の拠点(10営業所3工場)を設けています。

 創業当初は年商5億円規模をめざしていましたが、約50億円の売上にまで事業を拡大。現在はさらに100億円規模をめざしています。山下氏は「当社がここまで事業を拡大できたのは、すべて同友会のおかげ」と語ります。

「共に育つ」

社内の様子  山下氏が岡山同友会に入会したのは2004年。例会に参加するうちに、報告やグループ討論の中で聞く「共に育つ」という新鮮な言葉の響きに、すぐにピンときたと言います。

 「経営者だけが学ぶのではなく、社員だけが学ぶのでもない。経営者と社員が共に学び育ち合うという考え方に驚き、感銘を受けました」。

 山下氏は、会議などの機会を通じて社員に「共に育つ」という考え方を伝える一方、岡山同友会の「社員共育大学」にも参加し始め、社内でも「共に育つ」教育理念の共有を図りました。以来、12年間欠かさず社員と一緒に社員共育大学に参加し、今では正社員213人中74人の社員が同大学を修了。中堅社員向けの「幹部社員大学」にも10期連続で参加し続けています。

「社員共育大学」と社員の変化

 しかしすべてが順調に進んだわけではありません。社内で社員共育大学の受講希望者を募っても、当初は社員から手が上がることは滅多になく、やむを得ず山下氏が数人を指名して参加していました。社員からは「仕事が忙しいので無理です」などの意見が多く聞かれましたが、それでも辛抱強く社員共育大学への参加を続けました。

 変化が見え始めたのは数年後でした。

 「ある時、いつの間にか社内会議の様子が変化していることに気づいたんです。なんとなく活気があって雰囲気が明るい。よく見てみると、社員共育大学に参加した社員の発言が以前と比べて圧倒的に増えていたんです。意見も前向きなものが多い。確実に社員が成長していると実感した瞬間でした」と山下氏は語ります。

 それからの変化は速いものでした。前日の夜社員共育大学で聞いたばかりの経営者の報告内容について社員同士が意見交換をしていたり、「社員共育大学は面白いよ」という噂が広がり、関心も徐々に増していきました。

 今では自ら参加を希望する社員が増え、中には先に修了した社員が「次はあなたに参加してほしい」と、翌期の参加者を指名するケースもあるほどです。

転機になったハイタッチ運動

 \;  (株)ヤマシタの出社時と退社時のあいさつは、ハイタッチです。「おはようございます」「お先に失礼します」の言葉を交わすだけではなく、必ずお互いが手を高く掲げて元気よく手を合わせます。ルールは、必ず相手の目を見てハイタッチすること。そして作業中であっても必ず一旦手を止めて、正面から向き合ってハイタッチすること。

 山下氏がハイタッチを始めたきっかけは、約10年前に経営統合した新潟の協力会社を訪れた時のことでした。
工場の雰囲気はとても暗く、社員は黙々と自分の仕事に取り組み、お互いのコミュニケーションはまったくないという状態でした。

 山下氏は「まずはお互いにあいさつすることから始めよう」と提案しましたが、社員はこわばった表情でボソボソ小声であいさつするだけ。みんなうつむき加減なので目線も合いません。困った揚げ句、苦しまぎれに思いついたのがハイタッチでした。「ハイタッチをすれば、イヤでも手の届く距離までお互いが近づくし目も合うだろう。二人が息をあわせて同じタイミングで手を合わせる必要があるので、先輩と後輩、上司と部下という立場にかかわりなく、だれでも平等にできる」と考えたのです。

 最初は山下氏一人が全社員とハイタッチを行っていましたが、そんな情景にも慣れてきたのか、新潟滞在中のわずかな期間にも社員同士でハイタッチをする様子も見られるようになってきました。

 数日後、山下氏は「ハイタッチのあいさつだけは続けてくれ!」と言いおいて岡山に戻りましたが、内心では「きっと長くは続けてくれないだろうな」と思っていました。

 ところが数カ月後に再び新潟を訪れてみると、驚いたことにハイタッチあいさつは社内で継続されており、しかも社員の表情も社内の雰囲気も、前回とは見違えるように明るくなっていたのです。山下氏は「あいさつだけでここまで変わるのか」と驚き、岡山本社でもすぐにハイタッチを導入しました。

 「近い距離で相手の目を見ながらあいさつができれば、お互いのちょっとした変化にも気づくし会話もしやすい。体調の異変や悩みにもすぐ対応できる。信頼関係も築きやすいし、いいことずくめです」と山下氏は語ります。

(株)ヤマシタのこれから

 「仲間とともに育ち、社員が働きがいと満足感を得て働ける会社作りをしていきたいと考えています。そう思わせてくれたのは同友会です。ハイタッチあいさつも、まだ適当にしている社員も中にはいるんですよね。そんな人にも社員同士で声をかけ合って、お互いに成長ができる社内風土をつくることが課題です。そのためにも同友会の社員教育プログラムにはずっと参加していきたいですね」と、山下氏同社の展望を語りました。

経営理念

・地球環境に優しい集成材を、様々なニーズに対応して木の温もりを提供し社会に貢献します。
・仕事を通じて信頼・信用を得、仲間と共に成長し働きがい・満足感を得る職場を創ります。

会社概要

創 業:1994年
設 立:1995年
資本金:1,000万円
事業内容:造作用集成材の製造・加工・販売全般
従業員数:260名
本社所在地:岡山県岡山市北区下中野312-102
URLhttp://www.woody-yamashita.jp

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