【第23回】激動の中にあった変革のチャンス (有)玉木製麺 代表取締役 玉木 暢氏(島根)

玉木暢社長

(有)玉木製麺 代表取締役 玉木 暢氏(島根)

はじめに

うどん・出雲そば たまき

 (有)玉木製麺(玉木暢代表取締役、島根同友会会員)は製麺販売、飲食店「うどん・出雲そば たまき」の運営をしています。昭和23(1948)年に乾麺の製造販売からスタートし、現在は島根県を中心に飲食店を計9軒展開。「うどん・出雲そば たまき」は松江市民、出雲市民なら誰もが知る地元の味となっています。

 「コロナがなければ変われなかった」と、3代目代表取締役を務める玉木暢氏は言います。激動をよき友に、ピンチをチャンスに変える出来事がありました。

新型コロナウイルスの影響

うどん

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、最初の緊急事態宣言が発出された4月には、売上は前年比の30%まで落ちました。パーテーションの設置や受付システムの導入などの感染対策を徹底するだけではなく、テイクアウトの広報強化などを行い、6月の売上は9割まで戻りました。特に、テイクアウトはもともとメニューにありましたが知らない人が多く、感染対策を徹底した店内飲食との相乗効果で、7月の売上は前年比100%を超えるまでに至りました。現在、各地において2回目の緊急事態宣言が発表され、まだ油断ならない状況が続いていますが、昼のピーク時は空席待ちが出るほどの人気があります。

不採算部門を見直すきっかけに

製麺

 (有)玉木製麺はその名の通り、創業時から製麺事業を続けてきました。父の代で飲食店をオープンしてから事業の軸はそちらにあるものの、不採算部門にも関わらず、製造管理や営業もいない中で製麺業は残り続けてきました。

 製麺は続けて当然のものだと思っていましたが、一念発起し2020年2月からOEM(委託者ブランドでの製造)を進め、ほとんどの製造を他企業に移すことにしました。コロナ禍で売上減少の中「一人も解雇はしない」という決意を胸に、自社製造部門一人ひとりに面談を行い「飲食業も悪いもんじゃないけん、やってみないか」とお願いをしたところ、8割もの人が飲食部門に移ってくれました。結果、製造部門でも売上が上がるようになり、飲食部門も人手が充足。コロナ禍での変革は、社員とともに会社を見つめ直す機会になりました。

現場とともに

社員さんと

 「今でもそば打ちは誰にも負けない」と言う玉木氏は、現場で修業を積んできたからこそ、現場の気持ちがよくわかり、社員の声を重んじています。「生活や子育てもある中で仕事をしているということを社長はわかってくれている」と、ある日パートの方から言われたそうです。現在、同社では、残業時間がゼロ、産休・育休の取得率も高く、働きやすい環境の中、社員も生き生きと働いています。激動をよき友に、変革・適応していく裏には、「人を生かす経営」を実践し、社員とともに歩む社長の姿がありました。

会社概要

設 立:1948年
資本金:1,000万円
事業内容:飲食業、製麺、販売
従業員数:正社員60名、パート150名
所在地:島根県出雲市斐川町沖洲1620
URL:http://www.sobasho-tamaki.jp/