シリーズインデックス:新時代を切り拓く中小企業

【第9回】「福島から食とハッピーを全国に発信!」 (株)信濃屋 代表取締役 高橋光彦氏 (福島)(2022.10.5)

 \; (株)信濃屋 代表取締役 高橋光彦氏 (福島)(2022.10.5)

創業以来、順調に事業を拡大

 \;  高橋光彦氏((株)信濃屋代表取締役、福島同友会会員)は26歳の時に創業。「『食』に関する仕事はどんな時代にも通用する」という想いもあって、持ち帰り寿司のフランチャイズを始めます。
 その後、寿司をスーパーに卸す事業を展開。さらに繁忙期に集中する仕事量を平準化する狙いもあって、徐々に事業所向け弁当へと事業を展開していきました。

2011年の東日本大震災‥福島の産品を発信しよう!

 東日本大震災では、地域に「食」を提供する大切さと自社の使命感を痛感しました。一方で、原発事故による風評被害により福島産の農産品が売れないという状況が起こります。そこで福島県の補助事業も活用して、2018年からインターネットで福島県の食材を広く全国に販売するインターネット販売のECサイト事業を始めました。

コロナ・ショックを受けて…

 \;  新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、同社でも売上の減少に見舞われました。さらに、仕入先から「外食産業向けの食材がまったく売れずに困っている」という切実な叫びも入ってきます。そこで、このECサイト販売を強化。福島県産の「伊達鶏」の唐揚げを中心とした商品の販売を進めました。
 弁当で培ってきた風味を逃さない高い急速冷凍技術によるおいしさ、レンジで温めるだけの手軽さなどがアピールポイントです。

若い力で新しい「柱」に!

 \;  この通販事業を中心となって進めたのが河戸明義氏です。義父である高橋氏からの誘いで同社に入社し、製造や営業部門を7年間経験した後に、ECサイト事業を1人で任されました。
 当初は売上ゼロの月も続き、「結果が出ない負い目もあって、ほかの社員がいない早朝や深夜に一人でパソコンに向かっていました」と笑う河戸氏。一時は通販事業からの撤退の話も出た中で、持ち前の粘り強さで「なぜうまくいかなかったのか?」をとことん追求し、少しずつ実績をあげてきました。その結果、楽天市場の「月間MVP」を獲得するなど、通販部門は全社の売上の2割に達する新しい柱になるまでに成長しました。

「ハッピーハート」をめざして

 \;  同社では、大学生と提携して商品化した「雪うさぎ恵み弁当」や、地域の食材である「桃」を生かした商品「桃ごはんの素」を開発するなど、「地域と共に」を実践しています。
 そんな中、今年3月に福島県沖地震が発生。震度6の揺れで建物の基礎に大きな被害を受け、苦渋の判断として南相馬市にある製造工場を撤退せざるを得ませんでした。
 さらに原材料や燃料の価格高騰など環境が大きく揺れ動く中で、経営者としての判断を迫られる場面が続きます。「経営は環境対応業。芯はブレず、変化には迅速に対応」と高橋氏。
 経営理念に掲げる「ハッピーハート」。社員もお客様も、そして地域の人々にも幸せを届け続ける挑戦はこれからも続きます。

設 立:1980年
資本金:1,000万円
事業内容:事業所用弁当・オードブルの製造・販売・楽天市場「shinanoya」
従業員数:100名
URL:http://www.shinanoya.info/

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