戸沼岩崎建設(株) 相談役会長 戸沼 平八氏(北海道)
経営方針は健全経営、安全第一、人間尊重
戸沼岩崎建設(株)は1934年、青森から函館に渡ってきた先代の戸沼勇吉氏が創設。1954年に戸沼建設(株)として設立されました。現相談役会長の戸沼平八氏は、北海道大学の理学部と工学部の2つの学科で学び、卒業後は大手舗装会社に入社し、精力的に仕事をこなしてきました。32歳となった1968年、父から後継者として戻ってほしいという願いにこたえて専務取締役として入社しました。建築中心の会社でしたが、土木部門へも進出し、順調に売上を伸ばしていきました。1993年の北海道南西沖地震や、2011年の東日本大震災などの大規模な自然災害時にはまさに不眠不休で工事を進めた実績もあります。2010年には市内の建設会社と合併し、社名を戸沼岩崎建設に変更。後継者も子息の戸沼淳氏が2005年に専務として入社、2009年には代表取締役に就任しています。
強みは北海道で初のノンフレーム採用工事を受注した際の経験とノウハウを生かした専門技術と特許も取得した工法など高い技術が経営の柱になっています。また土木に携わる業界として社会・生活環境の整備と自然環境の調和を念頭に置き、これまで携わってきた河川を中心とした構造物の設計や施工の経験を踏まえ、河川環境の保全と回復のための活動としてNPO法人北海道魚道研究会を発足。地域と環境に配慮した活動も積極的に行っています。
経営者は孤独ではない~同友会との出合い
戸沼氏は1971年に設立した北海道同友会函館支部の設立時からのメンバーです。「函館に戻ってきたころは経営のことは何もわからず、強い孤独感に包まれていた」と戸沼氏は言います。その時にたまたま新聞で見かけた「経営者は孤独ではない」の言葉に魅かれて会合に参加し、それが縁で入会しました。先輩経営者に交じって学ぶことは実践的なものが多く、すべてが新鮮に感じました。
また、函館に戻りしばらくすると会社が危機的な状況に陥ります。地元でも評判がたってしまい、現金でなければものを売ってくれなくなってしまうほどでした。その中で戸沼氏は帳簿を洗いざらい風呂敷に包んで札幌の同友会事務局まで行き、当時事務局長だった大久保尚孝さん(故人)に相談すると「若いのだから頑張ればなんとかなる」と具体的な内容も含めて励まされました。
その後不動産の売却や、原価管理の徹底等経営改善を重ねて業績は安定してきました。主要な資材(木材、セメント、鉄鋼、石油)は同友会会員、もしくは後に会員になった企業に変更し、かつ株主になってもらうなどして銀行の信用回復に努めてきました。同友会での勉強会には足しげく参加し、会社で実践していきたいことが山ほどありワクワクして眠れないこともしばしばでした。社員教育活動にも積極的に参加して特に函館支部の幹部大学には現社長も含め継続して社員を出しています。
地域を元気に~学びと実践
支部活動では1994年から2004年まで支部長を務め、在任期間には地区会の設立や地域の資源に再注目した「函館昆布研究会」を発足。5年間限定の活動で函館の昆布のブランド化に向けて新製品の開発や視察研修など地道な勉強と数々のイベントを行い、大きな成果を挙げました。
同友会への期待
「同友会の3つの目的は普遍的な考え方です。どれも欠くことはできない企業の生命線となる基本の精神です」と戸沼氏。そして「21世紀型中小企業づくり」*を追求することを継続して取り組んでほしいと話します。また人間成長の場として経営者・社員が共に高めあうこと、そして原点である会員企業経営者の経営実践の交流を続けること。戸沼氏の財産は「人」。「今まで出会った人々の交流で得たさまざまな人の生き方から学びそこから自身に跳ね返ってくることで前進できる」とにこやかに笑います。「枠の内側に留まるのではなく、どんどん外に出ること。同友会の真髄はそこにあります。それを次代の皆さんは受け継いでほしい」とエールを送ります。
*21世紀型中小企業づくり
第1に、自社の存在意義を改めて問い直すとともに、社会的使命感に燃えて事業活動を行い、国民と地域社会からの信頼や期待に高い水準でこたえられる企業。
第2に、社員の創意や自主性が十分に発揮できる社風と理念が確立され、労使が共に育ちあい、高まりあいの意欲に燃え、活力に満ちた豊かな人間集団としての企業。
会社概要
設 立:1954年
事業内容:土木工事業、建築工事業、造園工事業、水道施設工事業
従業員数:38名
TEL:0138-57-1535
FAX:0138-57-1538
URL:http://www.tonuma.com/