【第25回】「何を考えるか」で決まる学びと気づき ノグチコンピュータサービス(株) 代表取締役会長 野口 喜介氏(埼玉)

野口喜介会長

ノグチコンピュータサービス(株)代表取締役会長 野口喜介氏(埼玉)

 ノグチコンピュータサービス(株)の野口喜介会長は、1992年度から1994年度の3年間埼玉同友会代表理事を務め、中同協の共同求人委員長などの要職を歴任した、まさに「同友会理念の体現者」です。

 埼玉同友会へは、1985年に入会しました。そのころはバブル経済が絶頂期に向かうところで、ハローワークや求人誌に募集を出しても、遅々として人材の確保ができないことが悩みでした。先に大阪同友会に入会していた野口氏の親族の『同友会に入会すればいい人材が採用できるよ』の言葉に背中を押され入会しました。

共同求人活動で新卒採用

社内の様子

 同友会の活動で心に残っているのは、共同求人の活動です。創業当初は官公庁からのキーパンチの業務受託を主力事業としてきました。しかし、この業界は移り変わりが早く、キーパンチの会社からシステム開発の会社にグレードアップする必要がありました。「同友会の『傘』を活用してどんどん採用しました。同友会の看板があると、学生さんも先生も信用してくれました。当社は9割が新卒採用です。法人の形を整えるよいきっかけにもなりました」と野口氏。

 「今は採用難の時代と言われていますが、『いい人』を採用しようとするから来ないのです。『だれでも採用して育てましょう』というのが同友会の発想のユニークなところです。社会人教育は中小企業家がするのです。雇用は地域から。地域を大事にすることは、人を大事にすることと同義です」

同友会の未来について

 「会社はだれのものなのでしょう? 私は『みんなのもの』だと思っています。また、会社は大きければよいのではない。かといって、小さいままでもよいわけではない。自社が存在する意義を経営者自身がきちんと理解し、普遍的な目標ともいえる『理念』を掲げてほしい。同友会も同様です。

 また、『儲かっている人が先生で、儲かっていない人が生徒』のような雰囲気は同友会らしくありません。『同友会はかくあるべし』のような雰囲気も、中心にいる分には心地よく感じるかもしれませんが、実は周りは振り回されています。どこまでも自主・民主・連帯の精神を追究してほしいですね。
 
 同友会は徹底的に協議する場です。スピード感が求められる世の中ですが、同友会では、まどろっこしいくらい話しあいをした方がよい。上からおろすのではなく、話しあいで決める。これは自社の経営にそのまま生かせませんか? 私はクリスチャンですが、ユダヤ人の世界では全員賛成は無効なのだそうです」と野口氏は言います。

会員の方々へのエール

 「『会員は辞書の1ページ』という言葉をご存じでしょうか? これは人間尊重を旨とする同友会の考え方そのものです。まずは会員それぞれのありのままを認めましょう。そして、触れあってみて、ハッとすることがあればそこから何か学べばよいのです。とにかく、自分で気づくことです。同友会に何かを教えてくれる先生はいません。胸襟を開き学ぼうとする気構えをもって参加すれば、必ず何かしら応えてくれる仲間が見つかります。同友会は宝の山です。自ら考えて動けば必ず得るものがあります。『何を考えるか』これは同友会だけではなく、経営者にとって一番重要な精神活動なのではないでしょうか」

中同協50周年に寄せたメッセージ

 同友会運動が広範な経営者に受け入れられてきたのは、いくつかの要因があるはずです。その一つに「よい経営者、よい会社、よい経営環境」があります。ただ儲ければ、会社が大きくなればそれでよいのではなく、まっとうな人間、まっとうな会社にするには経営者の人間性が重んじられ、地域に受け入れられる必要があります。「会社」が学校であり、家庭であり、病院であって初めて地域の企業といえるのではないでしょうか。こうした体質は長い同友会の歴史の中で先輩方から受け継がれ育まれてきて、企業の血となり肉となって発展の土台をつくっていると思うのです。

 二つ目に「思想信条の自由」があります。特定政党につながらず、自らよく考え協議の上、各同友会の自主性を重んじてきました。中同協は「結び目の帯」の役割を立派に果たしてきました。「親方日の丸」の立場に立たず、多くの会員の思いや実践事例、同友会理念をしっかりと学びあうことのできる書籍などを提供してきました。これも大きな礎となっていると思います。

 今後ますます協議会機能がよく機能し、各地同友会の地方自治が重んじられていくならば、さらなる発展が期待できます。次の50年に向かって大きな夢と使命感を持ってまい進して行きましょう!

 取材を受ける野口氏

会社概要

設 立:1968年
資本金:4,000万円
売上高:4億1,000円
事業内容:コンピュータシステム開発全般
従業員数:52名
所在地:埼玉県さいたま市中央区下落合1085-15
TEL:048-824-1099
FAX:048-824-1090
URL:http://www.ncsnet.jp