シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第1回】同友会は最高のOJTの場 人見建設(株)代表取締役会長 人見 明氏・代表取締役社長 人見 毅氏(京都)(2016.03.30)

人見明会長(左)と人見毅社長(右) 人見建設(株)代表取締役会長 人見 明氏・代表取締役社長 人見 毅氏(京都)

 人見建設(株)は2018年に創業100年を迎えます。京都の住まいづくりを四代にわたり支えてきました。京都同友会には三代目で現会長の人見明氏、四代目の現社長である人見毅氏、二人で入会しています。二人は2014年、法人設立30周年を期に社長交代しました。

突然の社長交代

1968年の現場風景  人見建設(株)は明氏の祖父・八三郎氏が1918年に町家大工を始め、そして父親の弥一郎氏に事業は引き継がれます。明氏が父親から社長交代したのは36歳のときでした。法人化をする際に父親から「社長にならないか」と声をかけられます。「それまでは社長交代の話など一切なく、本当に寝耳に水だった」と明氏は当時を振り返ります。以降、父親は現場には全く出ることなく、事務方の仕事に従事します。そして三年後、病気で入院してしまいました。

 何の引き継ぎもない社長交代だったので、明氏は大変苦労しました。「次に自分が引き継がせるときには、もっときちんとしよう」と決意します。ちょうどそのころ、知人に誘われ京都同友会に入会することになりました。1984年のことです。最初はそれほど積極的には参加していませんでしたが、徐々に参加するようになり、経営理念を策定し、経営計画の作成にとりかかりました。

 そもそも明氏は会社を引き継ぐことには消極的でした。「幼いころから見てきたのは厳しい職人の世界。学校を卒業した翌日から父親と二人、現場で働くことになりました。当時はみんなそんな時代でしたけれど」と明氏は言います。

「入社させてほしい」

社屋  対して、毅氏は「仕事を引き継ぐのは自然なことだった」と言います。幼いころより現場で遊び、小学校時代はお小遣いをもらって手伝いもしていました。「あれは洗脳されていたんですね」と毅氏は笑って話します。しかし、毅氏がこの仕事に本当の魅力を感じるのはずっと後のことでした。高校卒業後は違う仕事を転々とし、一時は身を持ち崩すほどに。行き詰まった毅氏は、父親の明氏に頭を下げて入社のお願いをしました。毅氏が23歳のときです。

 しかし明氏はすぐには了承しませんでした。入社の条件として、長野での修行を命じました。「これがよかった」と毅氏は振り返ります。「一人でお客様のログハウスを建てました。本当にモノづくりの楽しさを知ったのはこの時でした」。1年半の修行ののち、無事に入社。営業から始まり現場監督見習いなど仕事を覚えていきました。

同友会で学び会社を継ぐ意志を持つ

2015年の竣工写真  2007年、明氏の還暦祝いのとき、毅氏は会社を引き継ぎたいと申し出ました。自分の覚悟を伝えるとともに、明氏が元気なうちに引き継いでほしいと要望も伝えました。すでに同友会の青年部会に入会していた毅氏は、部会の仲間たちの事業承継の様子や苦労を見て、意を強くしたからでした。そして同友会の事業承継セミナーに参加、さらには「人を生かす経営」実践道場にも入門し、自分なりの経営指針をつくっていきます。そして2011年に同友会の正会員になり、毅氏自身の経営に対する思いが強くなる中で、親子の対話も増えていきました。

 明氏が思い描いていた事業承継で大切なこと、一つは社員からの信任、もう一つは自分の意志を持つことでした。回りから信頼される人間でなければトップには立てない。先代が引いてきたレールを走るだけでは企業を発展させることはできないと考えたのです。代表交代の前年、社内で交代について発表しましたが、社員から異論はありませんでした。そして「人を生かす経営」実践道場で作成した経営指針を毅氏は明氏にぶつけ、人見建設のこれからを二人で話し合いました。

 2014年に社長交代し、毅氏は、役員会議や部門毎のミーティングなどを充実させていきます。「みんなでやること、組織で動くことを大切にしたい」と毅氏は語ります。

親子で同友会に学ぶ

 明氏の話では、事業承継にあたってそう多くは毅氏に語っていないように見受けられます。ですが、同友会の青年部会入会から始まり、「人を生かす経営」実践道場入門、そして正会員となり親子同じ支部での活動と、本人の意志を尊重しつつ、同友会との関わりを深くしてきたことが分かります。「同友会では本当にいろいろなことを学びました」と明氏。自身がたどってきた同友会の道を、毅氏にも経験させ、その中から経営者としての資質を学び取ってほしいと考えています。

 まもなく人見建設(株)は100年を迎えます。その歴史の中で培ってきた「和気あいあいの家づくり」は社風となり、お客様からも「人見建設の職人さんは気さくで優しいね」と声をかけていただくことも多くなりました。京都の住まいづくりを支えてきた同社の歴史はこれからも続きます。

会社概要

創 業:1918年
設 立:1983年
資本金:1,000万円
従業員数:23名
事業内容:総合建設業、一級建築士事務所、宅地建物取引業
所在地:京都市中京区寺町夷川上ル久遠院前町686番地
URL:http://www.hitomi-k.co.jp/

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