【第33回】働く女性がキラキラ輝くために (株)リリフル 代表取締役 金森 律子氏(岐阜)

(株)リリフル 代表取締役 金森 律子氏(岐阜)

 2児の母をしながら正看護師として勤務していた金森氏((株)リリフル代表取締役、岐阜同友会会員)は、あるきっかけで企業主導型保育事業の存在を知ります。この制度の仕組みなどを勉強していく中で、今まで生きてきた自分の人生のスキルや経験がすべて形になると考え始めたそうです。自身が子どもを保育園に預ける時、看護師が園にいないことに不安だった経験から、働くママさんが安心して子どもを預けられるよう看護師が常駐している園を作ってみたいと思うようになりました。2017年12月に会社を設立し、大垣市内で0~2歳児を預かる「タッチテラス保育所」と「ドリームタッチ保育所」の2店舗を開所しました。大垣市内の提携企業の子どもを預かる「企業枠」と地域の家庭が利用できる「地域枠」があり、どちらも働くママを全力でサポートしています。

少子化に負けない社会にしたい!

 開所の翌年には、保育所の利点を生かし働く意欲のある母親と企業をつなぐ「mama(ママ)ビズ」プロジェクトを発足させました。子育てしながら働きたい母親と、母親の社会復帰を応援する企業の担当者が園に集まり、働きやすい職場などの情報交換と企業説明会を開催していました。コロナ禍でママビズは一時中止に追い込まれましたが、コロナが収束に向かいつつある今、ママビズの再開を決断しました。徐々に企業の経済活動が動き始めたことで、小規模の集客イベントを模索する企業と個人事業(小物づくり、セラピストなど)を営むママさんとの橋渡しが広がりを見せ、企業の集客イベントによるワークショップのニーズは増えつつあるそうです。

キーワードは「保育×観光」

 2020年には、コロナ禍で家事育児の負担が増える母親を支援するために「訪問保育」を開始しました。保育所で研修を受けたベビーシッターを派遣するため安心して子どもを預けられることから事業化を進めましたが、地域の特性上、使いたいけど家に来られるのに抵抗があるという使用者の心理から伸び悩んでいました。しかし、コロナ禍が長期化したことにより、企業内訪問保育という新たな訪問保育の需要が加速しました。多くの企業では小規模の会議やイベントが増え始め、働く母親の子どもをどうしていくのかという課題に直面していたからです。このビジネスモデルの先には、地元の温泉地に看護師在中の保育ルームを併設して余暇を楽しんでもらうことや、体験型の観光に人気が集まっていることに注目し、体験先の企業で訪問保育を行うなど「保育×観光(余暇)」をキーワードに事業を展開していく予定です。

再生クレヨンを通して、大人から子ども、地域と企業が学ぶSDGs

 2021年8月には、地元企業3社と連携して「マーブルクレヨンプロジェクト」を発足しました。学校や家庭で使わなくなったクレヨンを再生して子どもたちに無料で贈る取り組みです。学校・ショッピングモール・企業などに回収ボックスを設置して、使わなくなったクレヨンを回収します。その後は、学校でのSDGs授業やワークショップを開催することで再生クレヨンとしてよみがえり、お客様や地域の子どもたちへと贈られるというものです。作り方は簡単で、回収したクレヨンを細かく折り、キャラクターの型に入れて電子レンジで溶かした後、乾燥させて固めます。好きな色のクレヨンを混ぜるので、完成したクレヨンはきれいなマーブル模様になります。昨年は市内のショッピングセンターなど約23カ所でワークショップを開催したそうです。この再生クレヨンを贈る「マーブルクレヨンプロジェクト」は、ロシアのウクライナ軍事侵攻で日本に避難してきたウクライナの子どもたちを支援する活動にまで発展しました。クレヨンでウクライナの子どもたちを笑顔にしたい!との思いから、県内の子どもたちが作った380個のクレヨンを在日ウクライナ大使館に寄贈しました。

 5年前に保育所として産声を上げた(株)リリフルの経営理念は、「最高に充実した人生を送ろう」です。未来の子どもたち・家庭・企業そして社会全体が明るく幸せになることを願い、そのために惜しまぬ企業努力とチャレンジ精神あふれる会社です。

会社概要

設立 2017年12月4日
資本金 10万円
従業員数 19名
年商 4000万円
事業内容 保育事業・訪問保育事業・子育てイベント事業・SDGs体験型事業・男女働き方応援サポート事業
住所 〒503-0923 大垣市船町5-18 リバーファイブ201
電話 0584-84-2325
URL https://lilifull.co.jp/