【第20回】社員が主役の会社をめざして (株)西郷組 代表取締役 西郷 進平氏(鹿児島)

 

(株)西郷組 代表取締役 西郷 進平氏(鹿児島)

 (株)西郷組(西郷進平社長、鹿児島同友会会員)は、戦前の1936年に西郷氏の祖父が創業し、今年で80周年になる総合建設業です。鹿児島県日置市にあり、県内の公共工事の元請をメインに行っています。
 西郷氏は幼少期からなりたい職業を考えたことがありませんでしたが、父親に工事現場に連れていかれたことなどが影響して自然と建設系の学校に進学し、県外の建設会社へ就職します。修行後、29歳のときに地元に戻り、西郷組に入社します。

同友会に入会

 

 入社したころは、会社にはきちんとした経営理念がなく、「信用・感謝・信念」という言葉が飾られているだけでした。数年後、副社長に就任し、会社に足りない部分や改善していきたい部分が出てきました。その頃、知り合いの勧めで鹿児島同友会の経営フォーラムに参加し、初めてのグループ討論で本音で迫られ、勉強しようと同友会に入会を決意。学びを深めてうちに社員に対する思いや経営の姿勢に変化が出てきました。そして、仕事を通して何かが足りないと思っていた時に、経営理念の必要性を痛感します。さっそく経営指針セミナーを受講しますが何となくお客さん気分なところが抜けず、最初の頃は真面目に取り組んでいませんでした。一通りセミナーを受講して経営理念を作成しましたが絵に描いた餅です。もちろん社内で披露することはありませんでした。そんな中、父から代を継ぎ社長就任を迎えることになりました。

社長に就任して

 

 副社長時代からある程度の決定権を持たされていましたが、社長に就任し、今まで以上に自覚が芽生え、経営者としてより意識するようになりました。再度、経営指針セミナーを受講し「今度こそ自分の思いをこめた経営指針を作ろうと自分なりに必死に取り組んだ」と西郷氏は言います。作成した経営理念は、今では毎日朝礼で唱和をしています。

 社長就任をきっかけにいくつかのことを変えていきました。まずは、朝礼の仕組み。今までは西郷氏が司会を行っていましたが、社員が輪番制で司会を行うようにしました。少しずつ社員の意識が自主的になってきていき、ユニホームのデザインや社用車の文字を今風に変更するなどして今までの建設業のイメージも変えようとしています。さらに休みを増やし、建設業に多い日給制から月給制にするなど福利厚生も厚くしました。その影響か、同じ同業他社に比べて若い社員が多くなってきました。

 西郷氏が理想とする経営者像は社長が目立ちすぎないことです。社長が仕事をしすぎると組織として回らなため、若手社員にも現場を任せたりなどある程度の権限を与え、社員がいきいきとやりがいを感じるような仕組みを提供しています。
この仕組みは先代の社長から引き継ぎ、今では社風になっています。父から事業承継を行い、会長と社長という関係でいろいろなことでたまにぶつかり確執はあるけれど経営者として会長のことは尊敬していると話す西郷氏。西郷氏のことを幼いころから知っている古参社員もいる中で、先代の社長がやってきた大切なものは残しつつ、変えていかなければならない部分は少しずつ、周りとの調和も考えながらやっていきたいと話します。

建設業界のモデルをめざして

 

 建設業界は公共工事が減り、それに伴い年々売上も下がり厳しい状況が続いています。建設業全体に元気がない中で地域に働く若者を育てようという雰囲気になってきました。建設業は災害時にはすぐに駆けつけライフラインを確保するなど、私たちが生活する上でなくてはならない仕事です。「若手をもっと増やし、建設業はかっこいい仕事だと思ってもらえるように自社が建設業界のモデルになれば」と話す西郷氏。厳しい現状を生き残り、若者や地域からの注目を重ね、社員が主役の会社をめざしていきます。

経営理念

社員幸福とお客様満足を満たす為、物心両面の豊かさを追求し、変化を恐れず進化し続ける事で地域に貢献する。
経営方針
1.私たちは築き上げてきた信用をさらに高める為の努力を惜しみません。
2.私たちは、何事にも感謝の気持ちを持ち続けます。
3.私たちはインフラ整備のプロとして、一流の誇りを貫く事を信念とします。

会社概要

設 立;1936年3月
資本金;3,000万円
事業内容;土木工場、建設工事、リフォーム工事、給排水工事、ガーデニング工事、パラボラ工法会員
従業員数;30名
所在地;鹿児島県日置市伊集院町徳重482
TEL;099-273—3155
URLhttp://saigo-g.com