ユニオン産業(株) 社長 澤井勇氏(富山)
自社オリジナル製品を将来の柱に
ユニオン産業(株)(澤井勇社長、富山同友会会員)は、2009年8月31日、「高速気流式米粉製粉機の開発」で、平成21年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されました。これは補正予算を受けた、いわゆる「ものづくり補助金」の一つで、全国で658件の申請があり、第一次採択として今回158件が選ばれました。
新しい仕事づくりに積極的に取り組む同社は、「米粉製粉機」以外にも、廃熱を利用した「吸着式冷凍機」など、自社オリジナル製品の開発を手がけており、現在、①環境の保全&改善、②自然エネルギー応用商品、③時流商品、④園芸に関する省力機械、⑤農産物加工機械の分野で、産学官連携を軸に、新規事業の開発を進めています。
従来の請負受注型企業の枠にとどまらず、自社開発の製品を生み出し、将来の事業の柱に育てていくのがねらいです。
経営指針に救われる
1980年、澤井氏(当時常務)を含む3名で創業。機械設計・製作、水・火力発電機器の据え付け・修理などで、順調に業績を伸ばしてきました。しかし、1998年末より機械の受注が激減。一気に社内の問題が表面化してきました。
澤井氏にとって最大のショックは、部下4名が相次いで退社したことです。仕事が減少する中、明確な方針や会社の将来像を示すことができずにもんもんとしていたころで、「このままではいけない」と思い悩む日々が続きました。
そんな折、会員の勧めで富山同友会の「第3期経営指針を創る会」にオブザーバーとして参加。「何のために経営をし、どんな会社にしていくのか」と、受講生と講師団の真剣な議論を目の当たりにし、「自分は今、これをやらなければいけない」とそのまま受講生として参加、経営指針づくりに着手しました。
社長に就任、学んでは実践
2003年に社長に就任し、経営指針の実践をスタート。まずは人づくりと共同求人委員会に参加して定期的な新卒採用を開始しました。同友会の社員研修、経営者大学に社員と共に参加し、学びあいました。また、「社員の主体性、自主性が発揮される仕組みが必要」と、組織の変更、プロジェクトチームの設置、社内諸規定の見直しなど、社員が中心となって、改革を推し進めていきました。
今では、澤井氏が社長就任後に採用した社員が新卒を中心に26名(全社員の5割超)となり、社内の雰囲気が変わってきました。理念に共感し、方針に基づいて行動する若手社員が、年輩社員の組織観を変えてくれました。
いちばん大切にしてきたことは、「経営理念」を全社員が理解し、理念に基づいた経営、仕事づくりを進めていくこと。その積み重ねにより社会から評価される企業となり、世の中に必要な仕事を生み出し、同社の企業文化として花開くよう「10年後のわが社の企業像」として成文化しています。
富山の特産品(農業など)にスポット
澤井氏は現在、富山同友会新産業創造部会長として、新しい仕事づくりを通して地元富山を元気にしたいと、21名のメンバーと学びあい、実践を続けています。特に、富山の特産品(農業など)にスポットをあて、その省力化や高付加価値化に寄与する製品の開発、農商工連携などを今後の課題としており、同社も農商工連携の取り組みを具体化させ、部会活動をリードしています。
会社概要
創 業:1980年
社員数:49名(全て正規社員)
資本金:2,800万円
業 種:産業機械の設計製作、水・火力発電機器及び
一般産業機械の据え付け修理、吸着式冷凍機の製造
所在地:富山市南央町3-33
TEL:076-429-5152
URL:http://www.union-industry.co.jp