【第52回】人間力の向上で真の娯楽サービス業へ 朝日商事(株) 常務 大西智子氏(青森)

大西常務

朝日商事(株) 常務 大西智子氏(青森)

 朝日商事(株)(大西智子常務、青森同友会会員)は青森県五所川原市で遊技業(パチンコ店2店)と花販売業を営んでいます。今年から農産物加工、特産品販売の子会社を設立しました。

主婦から経営者へ

 1998年、全国大手チェーン店の進出で経営が厳しくなり、社員の関係もぎくしゃくしていた夫の会社に大西氏は入社、会社を改革することになりました。課題は山積しており、それまでの主婦時代とはまるで違う厳しい日々が始まりました。3ヶ月で経費を半分にする改善計画を進めるなかでも、「このやり方で本当に良いのか」と日々悩みました。

 そんな思いから、大西氏がさまざまな研修に出向くようになったころ、北海道函館の同業者から同友会の存在を知らされました。2003年に青森同友会に入会、「経営指針を創(つく)る会」では大西氏に徹底した問いかけが待っていました。「自分自身の成長は自分だけではできない、他人によってのみできることを学んだ」と振り返ります。幹部・社員・パートも参加した社内委員会で経営環境の情勢、理念の浸透、現状の問題点について議論するなど、「社員と共に育つ」ことに徹底して取り組み始めました。

「何で仕事に関係ない勉強するのか」

 幹部社員の「今の若い社員は正しい日本語が分からない」という意見を受けて国語の教師を講師に招いたり、「パチンコは善か悪か」でディベートしたり、カラーコーディネートの専門家を招いて社員の髪の色、イヤリング、服装について議論したりしました。「何で仕事に直接関係ないことまで勉強するのか」と反発もありました。「ぶつかったときはお互いが伸びるチャンスと考え、社員の戸惑いを受け止め、理解を示し、どうすればよいかを時間をかけて一緒に考えた。お互いの認識が深まり、眼に見えるように変わってきた」と大西氏は言います。

 ある社員は「マイホームを計画したとき、その業者に経営理念があるか確かめて契約した」と、またある社員は「結婚式のスピーチで自社の経営理念について話した」と報告してくるようになりました。大西氏は同友会で「人は人としてどうあるべきか、経営者はどうあるべきかを問われた。まさに私が必要としていたことだった」と言います。

共に育つのは時間がかかるもの

社員とともに

 業界の状況は予断を許しません。大西氏が入社した1998年に1万4000店だったパチンコ店は現在9000店になり、さらに今後7000店まで減ると言われています。「私たちは娯楽産業。本当の娯楽を提供するためにはパチンコに負けたお客様の顔を向かい合い、ストレスを受け止めて“楽しかった”と帰ってもらう。そのために、ひたすら接客する人間の人間力を磨くしかない」と大西氏、「共に育つのは思ったより時間がかかるもの」と焦らず、弛まない歩みを続けます。

会社概要

設 立:1953年
資本金:1,000万円
年 商:40億円
社員数:80名(うちパート・アルバイト20名)
事業内容:遊技業(パチンコ店2店)、花販売/
       【(株)津軽シャングリラ】農産加工品販売、特産品開発
URLhttp://www.asahishoji.jp/