
(株)宗重商店 代表取締役 宗守 重泰氏(石川)
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県内の中小企業にも大きな試練をもたらしました。金沢市の解体・リサイクル業である(株)宗重商店(宗守重泰代表取締役、石川同友会会員)も、その1つです。同社では社員の2、3割が能登出身であることから、地震発生直後の1月2日に経営幹部が集まり、社員の安否確認を始めました。家族や同僚が被災していた事実が次々と明らかになる中、年始に予定していた経営指針発表会の名称は急遽「復興決起会」に変更され、緊急対策方針の最初の一手として物資支援が決まりました。
災害復興で社員の主体性が光る

トラック十数台に水や食料を積み、社員の家族が避難する公民館などへ運んだことが、復興への第一歩となりました。その後、同社は石川県と石川県構造物解体協会の災害協定に基づき、穴水町全域などの公費解体を正式に受託します。
現場で目を引いたのは、社員一人一人の主体性です。「自分が行きます」と志願する声が次々と上がり、慣れない道案内を自ら担う社員も現れました。会社が備えていた防災用の暖房器具やアルミブランケットを、社員が自らの判断で避難所へ運び込んだことも、その表れの1つと言えるでしょう。冬場の自社現場が暖房不足に陥るほどの行動だったことからも、社員の本気度がうかがえます。
電気も水道も整わない地域での長期対応に備え、同社は240人が生活できるユニットハウスをいち早く建設し、地元の飲食業者の協力もあり食事提供の環境も整えました。投資は数億円規模に及びましたが、2024年4月という早い時期から現場に入れた背景には、こうした備えがありました。被災地に寄り添う姿勢を第一に、本来は被災者負担となる作業も、できる範囲でサービスとして対応してきたと言います。
スローガン「みんなのチカラで!」

復興のスローガン「みんなのチカラで!」は、社員たちの声から生まれた言葉です。「頑張ろう」ではなく、当事者としての言葉を選びたいという声が社内から上がった結果だといいます。このスローガンはヘルメットや車両に掲示され、被災者の皆さんへの安心感だけでなく、不当な業者との差別化にもつながりました。かつて江戸の町で火消しが人々に頼られたように、解体業もまた地域の復旧・復興に欠かせない存在であるべきだという思いが、その背景にあります。
1年半に及んだ公費解体が2025年に終了した後も、現地に残り、石川県に定住を決めた社員や協力業者が複数生まれています。同友会のネットワークを通じて出会った全国の協力業者との関係も、今なお続いていると言います。
経営指針を毎年更新して社内共有

こうした社員の主体的な行動を支えた土台について、宗守氏は「これがもっと以前の当社だったら、こうはならなかった」と語ります。同社では20年間、経営指針書を作り続けてきました。毎年の方針を社員と共有し、対話の積み重ねが、有事における軌道修正の速さと、社員が迷わず動ける組織の地力を育んでいたのです。経営指針書があったからこそ、震災という想定外の事態にも、会社がひとつにまとまることができたと言えます。
同社は今後、復旧・復興に関わる事業へと領域を広げていく考えです。クラウドを活用した現場管理の仕組みも、今後の災害対応における強みとして他地域へ展開していく方針だといいます。「みんなのチカラで!」という言葉どおり、社員と共に次の有事にも向き合おうとする姿勢が、同社のこれまでの歩みから感じられます。
| (株)宗重商店 | |
|---|---|
| 設立年 | 2007年3月12日(創業は1939年3月) |
| 資本金 | 2,000万円 |
| 従業員数 | グループ全体106名(2026年6月現在) |
| 年商 | グループ売上高74億円 |
| 事業内容 | 解体事業、リサイクル事業、不要品事業、リユース事業、海外事業、幼児教育事業、仮設足場・建設事業、建機整備販売事業、協同組合事業、不動産事業 |
| 住所 | 〒920-0342 石川県金沢市畝田西1丁目112番地(本社・石川営業所) |
| 電話番号 | 076-266-6000 |
| URL | https://munejyu.com/ |










