【第17回】50年先を見据えた組織づくり 城北電気工事(株) 代表取締役 伊藤 誠氏(山形)

 伊藤誠社長

城北電気工事(株) 代表取締役 伊藤 誠氏(山形)

社屋

 城北電気工事(株)(伊藤誠社長、山形同友会会員)では、毎年8月に開催する「山形花笠祭り」の提灯取り付け工事などを担っています。終了後の明け方まで続く撤去作業は、会長・社長・社員総出で行い、経営理念のとおり「地域社会に安心と活気を灯し続け、笑顔あふれる街づくり」に貢献しています。

 同社は1961年に伊藤氏の祖父と電力会社のOBの方と二人で創業。以来、電気工事業として地域とともに歩んできました。

経営者としての目覚め

 今年、四代目の社長に就任した伊藤氏は、子どものころより「後継ぎ」と言われて育ち、「何となく継ぐんだろうな」と思っていました。大学卒業後には大手電気工事会社に就職し、15年間の修業を経て2006年に後継者として戻り専務取締役に就任しました。

 当時の会社は現場の人員を配置して工事をするだけで会議も懇親会も歓迎会もなく、社員は先輩社員がいると何も言えない暗い雰囲気で、コミュニケーション不足を感じました。

 伊藤氏は、「現場管理が経営ではない」と思い、財務セミナーに参加。そこで経営に必要な数字やB/S経営の大切さを学ぶと同時に「財務だけではない。経営とは何か」と考えるようになります。そんなとき、商工会議所青年部の先輩から「会社は学校の授業、青年部は部活動、同友会は経営の塾」と誘いを受け、山形同友会に入会します。

経営者の責任を実感

社員さんと

 入会後、伊藤氏はすぐ経営指針作成セミナーを受講し、理念づくりに悩んでいたときに東日本大震災が発生。直後からの社員の安否確認、事故の予防のためのお客様への訪問、そして災害復旧応援要請に応えるための社員の家族への説明を通して、電気工事業の使命と社員とその家族を守る責任があることを痛切に感じます。それらの思いを入れて経営指針書を作成したことによって、自らにぶれない軸ができました。

 そして、社員と経営者、社員間の関係づくりを図るため、一人でも欠席者がいれば開催しないルールでの社内会議を行います。会議では月次決算を報告するようにしました。回数を重ねるうちに現場の社員も理解できるようになってきました。

 また、委員会活動もスタートし、いろいろな課題はあるものの徐々に社員の方々に自主性が芽生えてきています。

組織から見えてきた継承

 昨年の定時総会で実行委員長となった伊藤氏は、(株)伸電の原田誠相談役(宮城同友会同友会大学学長)と佐藤弘樹社長を講師に迎え「事業承継」をテーマに学びあいました。

 「社員年表を作成すると、見えない未来から見えることがあるよ」という話を受けて、さっそく50年年表をつくりました。すると、入社したばかりの新入社員が働き盛りの40歳になったときには自分が70歳を超えて責任を取れない現実を知ります。

 会社は継続しなければならない。そして、企業の永続・発展を確かなものにするためにどうすべきかを組織から考えると、定期的に採用し会社の規模拡大を図らなければならず、そのための売上・利益を確保するための事業展開の必要性が見えてきました。

 現在、伊藤氏は採用と育成に力を入れています。仕事の幅を広げるためには技術力が必要で、キャリアパス制度を整備し、一人ひとりの社員が成長できるように取り組んでいます。

 「これからエネルギーシフトや有機ELの商品化などで電気工事が変わってくるが、社員とともにお客様の毎日を優しく輝(て)らし続けていきたい」と語る伊藤氏は、社員一人ひとりの承継と自らの事業承継へ向けてスタートをきりました。

会社概要

設 立:1961年
資本金:1,000万円
事業内容:電気工事業
従業員数:14名
所在地:山形県山形市城西町四丁目5-37
TEL:023-644-4176
URL:http://johokudk.jp/