(株)環境整備産業 専務取締役 寺司志保美氏(大分)
(株)環境整備産業(寺司志保美専務取締役、大分同友会会員)は1970年に寺司氏の父が、一般廃棄物の収集・運搬業としてトラック1台から始めました。現在では社員数190名、車両保有台数も大分県一を誇っています。
当時は「廃棄物はできるだけ安く捨ててもらえればよい」という風潮でしたが、時代の変化と共に「今後は環境に意識した経営を行う必要がある」と感じ、リサイクル事業を拡大させてきました。「廃棄物を『処理処分する会社』からリサイクル製品やエネルギーを『製造する会社』へ」を経営理念に掲げ、常に環境に意識した経営を行っています。
「食品ロスからできた環境にやさしいたい肥」を商品化
環境リサイクル企業としての社会的役割を果たすために、2022年2月にSDGs宣言をしました。達成に向けた取り組みとして①廃棄物のリサイクル率向上、②二酸化炭素(燃料・電力)の排出量、水資源使用量の削減、③社会貢献活動を通じた環境保全、➃社員にとって働きやすい職場環境をつくり、物心両面の幸福の追求を掲げています。
SDGs宣言の具体的な取り組みとして、食品廃棄物のリサイクル事業があります。これまで食品廃棄物は可燃物として処理していましたが、リサイクルして利用できないかと考えていました。そこで、大手スーパーや学校給食、ホテルなどから出る、賞味期限を過ぎた食品廃棄物を専用車両で収集し、食品リサイクル工場に集めて「食品ロスからできた環境にやさしいたい肥」を商品化しました。県立大分商業高等学校の生徒さんがパッケージデザインしたこのたい肥は、廃棄物の有効活用およびリサイクル産業の育成を目的に推進している「大分県リサイクル認定製品」に選ばれました。2022年11月に県立久住高原農業高等学校と産学連携協定を締結。今後は、農業高校の知見や教育研究資源を生かし、たい肥を使用した場合の作物の生育状況などを科学的に分析する予定です。
また、このたい肥を使用したトマトで県立大分商業高等学校商業調査部が醤油メーカーと連携してドレッシングなどの商品化を行い、イオン九州でも「大分県産有機じゃがいもを使用したポテトチップス」としてこのたい肥で育った作物を使用した製品が限定販売されました。廃棄物を価値あるものに再生する、食品リサイクルループの一翼を担っています。
循環型社会の実現に向けて
(株)環境整備産業は、一般・産業廃棄物の収集運搬が主ですが、ただ処分するのではなく廃棄物を扱う会社だからこそ、廃棄物を減らすため積極的なリサイクルに取り組み、ほかにも機密文書処理事業、新支店の設立、新たにグループ会社を迎えるなど、地域社会の発展に貢献するため積極的に事業を展開しています。
社内では情報システム部を立ち上げ、DX化に取り組んでいます。ITリテラシーの社内講習会を開催するほか、IT技術を活用した廃棄物収集量データの収集および事務処理の自動化を進めてきました。収集作業員はタブレット端末に表示される店舗順に回り、収集した廃棄物の数量をタブレットへ入力することで、社内サーバーに自動的に保存され、運転日報が自動作成される他、請求書やマニフェスト(産業廃棄物管理票)への連動も可能となり、時間の短縮・ミスの軽減にもなりました。
モノを廃棄・処理する場所からエネルギーを作り出す場所へ。循環型社会の実現に向けて挑戦を続けています。
会社概要
設立 | 1970年 |
---|---|
資本金 | 3,000万円 |
社員数 | 190名 |
所在地 | 大分市大字下郡3260番地の10 |
業務内容 | 一般・産業廃棄物収集運搬処理、機密文書出張裁断 |
URL | https://www.kankyouseibi.com/ |