【第43回】「人生を切り拓く力」を育むために (株)KidsCreation　代表取締役　宮嶋さやか氏（茨城）

(株)KidsCreation　代表取締役　宮嶋さやか氏（茨城）

　KidsCreation（宮嶋さやか代表取締役、茨城同友会会員）は、0歳～小6を対象にした英語のスクールです。小児科の看護師だった宮嶋氏が、29歳だった2006年に一人で立ち上げました。

　看護師時代に結婚、妊娠、出産、離婚を経験。育児の中で、保育園に預けている時間の長さを実感し、「幼児期をどう過ごすかで人生は大きく変わるかもしれない」という考えに至りました。

　看護師から、畑違いの教育業で開業した理由はシンプルで、自分の子どもを通わせたいと思える場所がなかったからです。「ないのならつくろう」「日本の教育を変えたい」。宮嶋氏は一念発起し、シングルマザーで看護師をしながらコツコツ貯めた600万円を元手に、茨城県つくば市で開校しました。

「人生を切り拓く力」

　宮嶋氏は、2018年に茨城同友会で経営指針成文化セミナー（現：経営指針を創る会）を受講。「子どもたちに英語の翼を。子どもたちに生きる力を。」という創業当初からの想いを確固たるものとしました。

　KidsCreationのミッションは、子どもたちの「人生を切り拓く力」を育てること。英語を習得することを一番の目的とはしていません。

　働く社員にも、具体的にどんな教育を行えば、「人生を切り拓く力」が育つのか、それを考え実践することが、KidsCreationの仕事であることを共有し、同じゴールをめざしています。

開業から17年、コロナ危機を乗り越えて

　KidsCreationは、開校から現在まで売上を伸ばし続けています。しかし、そのすべてが順調だったわけではなく幾度も危機にぶつかりました。宮嶋氏は、それでも成長し続けてきたのは、「どんな状況下でも今できることを実践し続ける」というシンプルなルールを守ってきたからだといいます。「考えるだけでなく、実践し続ける」を自らの軸にしてきました。

　コロナ禍の2020年4～5月、KidsCreationは、緊急事態宣言の発令よりも先に休校することを決めました。休校中の給与は100%保証し、絶対に誰も解雇しないことを伝えました。これで安心してくれるだろうと思い込んでいましたが、スタッフ4名が、ユニオン(労働組合)に加盟したという通知が来ました。休校中、保護者対応やコロナ禍での新しい運営方法の策定に追われ、休んでいるスタッフの不安な気持ちに気づけなかったことが原因でした。ユニオンに加盟したスタッフとは別のスタッフの仲介のおかげで個別に話し合うことができ、団体交渉は3カ月ほどで終わりました。この時、双方向のコミュニケーションが重要だと痛感し、チャットツールを導入しました。

　さらに2022年には、KidsCreationの存在意義やめざすべきゴールなど、その本質を理解してもらい、社員と共に同じゴールに向かうために「Culture Book」を制作し、運用を開始。KidsCreationで働くスタッフの道しるべとなっています。

新たな教育拠点

　学童保育を始めて7年目、現在のスクールから5分ほどの場所に、広さ1,500坪、築100年を超える古民家を購入。改修工事を行い、子どもたちが過ごす新たな拠点として2023年4月KidsCreation NEOをオープンしました。

　儲かる見込みがあるというわけではなく、今よりも快適な環境を子どもたちに与えたいという購入理由のため、当初は税理士が首を縦に振ってくれなかったといいます。

　しかし、「どんな状況下でも今できることを実践し続ける」という考えを軸に、KidsCreationがめざしているものは何かを社員とも共有した結果、個人名義で契約をし、購入を決めました。

　今後は1年かけて子どもたちのためにやるべきことを形づくり、その後、地域とのつながりを作り、利益を生む体質を作っていく予定です。

KidsCreationのめざす未来

　宮嶋氏は、外部環境が変わったからといって特別なことをしたわけではなく、常に危機感を持ち、どんな環境下においても、目的(ゴール)を明確にして、今できることを実践し続けることで未来を切り拓けると語ります。

　「KidsCreationを巣立った子どもたちが世の中の課題を解決していくことによって　世界をより明るく　あたたかくする」というビジョンをめざし、KidsCreationの未来づくりは続いていきます。

会社概要