【第44回】人や地域に喜ばれる会社へ 高田舗装(株) 代表取締役 高田 勝敏 氏(石川)

高田舗装(株) 代表取締役 高田 勝敏 氏(石川)

 高田舗装(株)(高田勝敏代表取締役、石川同友会会員)は、1968年創業で舗装工事(アスファルト舗装・駐車場舗装等)を中心に土木事業を展開しています。高田氏は、関東の橋梁会社を経て1982年に同社へ入社し、1997年に二代目として社長に就任しました。

 承継当時は大手建設会社の下請けを主に担っていましたが、バブル崩壊、リーマンショックで多くの元請会社が倒産し不渡り、未収金が多額になりました。2003年から2011年まで赤字が続き、経費削減だけではどうにもならず、社員の生活を守るため、役員の給料を下げ、保険の解約などで給与の支払いを何とか維持しようとしても追い付かず自分の預金を増資して賞与を給付したこともありました。

脱下請けをめざし「よい会社」を追求

 その大変な苦労から下請けの脱却をめざしました。まずは、顧客から支持される「よい会社」になる必要性を感じ、経営のあり方を見直すべくさまざまな経営勉強会へ参加しました。その中で2010年に同友会と出合い、経営指針作成や社員共育、共同求人など現在も活発に活動しています。

 年間100冊以上の本を読み自社で生かせる形を模索していたところ、「日本でいちばん大切にしたい会社」という本に出合いました。自社に関わる「人」の幸福を追求し実現することが「よい会社」の定義であると知り、著者が代表の「人を大切にする経営学会」に登録しました。そこから、本に掲載された企業に訪問し、会社で考え方や生き方の勉強会をしていることにとても驚きました。あちこちの訪問先で学んだ、勉強会、読書会、社内外の整理整頓・清掃、輪読、経営理念の唱和、教育勅語の唱和など会社へ持ち帰り全体ですべて実践しました。

続けることでよい習慣・よい風土づくりへ

 勉強会の取り組みは、始めはスムーズにはいかず、特に声を揃えた輪読や読書感想文の提出は反発が強くなかなか進まず苦労しました。しかし、「皆でよい会社にしよう」と根気強く話し諦めずに信じて続けると、反発していた人が逆に諦めていき、少しずつですが、よい習慣になりよい風土になってきました。よい会社を全員で毎年訪問することも続けることにより、会社全体で気持ちを維持して現在まで10年続いています。継続して会社全体で学び、顧客から支持されるために見いだした「よい会社」は、社員がイキイキと働き、身近な人や地域に喜ばれる会社でした。

 商圏を5km内に設定し、競争が少ない小規模の元請現場を主に力を入れるようにしました。近いからこそ、持ち場の進捗に合わせて現場同士が助け合うことができ、進行がスムーズになり利益が安定しました。また、営業・技術職問わず顧客との距離感が近くなり、顧客の要望にも柔軟に対応でき紹介も増えました。いまでは大手の下請けを辞め、エンドユーザーを含めた顧客が大幅に増えました。

「日本でいちばん大切にしたい会社」(※)への挑戦

 めざした「よい会社」を客観的に見るべく、昨年の第13回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の顕彰に応募しました。過去にも応募して一次審査に7回通過した実績がありますが、当時の審査で指摘された70項目ほどの改善を試み、さらに高みをめざした結果、審査委員会特別賞の受賞となりました。

 受賞基準である、人を幸せにして業績を上げている企業ということを実践するのはとても難しいことで、中小企業家として大変敬意を表すべきことです。しかし、高田氏は「うちの会社はまだまだです」と幾度も謙虚に話していました。受賞が目的ではなく、「ただ私たちは人に喜ばれる会社になりたい」と。諦めずに真面目に努力すれば、いつかは必ず小さな会社でも自立でき、社会に役立てる「よい会社」になれると信じて、尽きない挑戦を続けると力強く決意を語ってくれました。

(※)「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞:人を大切にする経営学会等が主催(経済産業省、厚生労働省、中小機構など後援)で行われる顕彰制度。
https://www.htk-gakkai.org/a0013/MyHp/Pub/

会社概要

設立 1982年
資本金 2,300万円
社員数 18名
事業内容 舗装工事
所在地 石川県金沢市東力4丁目83番1
URL http://www.takatahoso.sakura.ne.jp/