【第47回】あらゆるブロックを組み合わせて新たなブロックを創造 (株)BeBlock 代表取締役 松村 祐輔氏(愛知)


(株)BeBlock 代表取締役 松村 祐輔氏(愛知)

 (株)BeBlock(松村祐輔代表取締役、愛知同友会会員)は印刷会社から始まり、時代の変化を見極めながら企業変革を進めてきました。現在では、大判印刷事業・販促支援事業・飲食店支援事業・モール事業・ライセンス事業と創業時から業態を進化させています。経営理念のポイントは、MISSION「人が幸せであり続ける」、VISION「社会の持続可能な発展」、VALUE「仕事をデザイン」です。この三つの概念は、単独ではなく相関関係の中で成立しています。

自立・自浄・自走

 2019年末から突如発生した新型コロナウイルス感染症は、BeBlockに事業の再構築を迫り、これまで準備してきた社内改革を飛躍的に押し進めることになりました。その結果、2019年から2023年にかけて正社員数は約1.8倍(43名→78名)になり、売上高は約2倍(11億円→24億円)に増加しました。松村氏は「企業は経営理念に基づいた「自立」「自浄」「自走」が重要であり、経営者は10年先のトレンドを見据えて取り組まなければならない」と言います。

発想の転換で事業定義を見直す

 2020年4月に新型コロナウイルス感染症の拡大のため緊急事態宣言が発出されました。イベントは軒並み中止になり、飲食店も営業を自粛し、凄まじい損失が発生。同業他社が様子見で静観している時期に、松村氏はすぐに対策を立てて行動しました。既存のリソースをアレンジして異なる分野の仕事を創造したのです。アクリルパーテーションの商品開発に取り組み販売を開始、イベント会場で使用するバナースタンドを、ワクチン接種会場の案内表示版にするなど発想の展開を図ります。このように事業の柱である販促支援・飲食店支援の売上がほぼゼロになる中、販促支援で培ったアクリル加工技術や資材調達のルートを確保していたことから、売上を確保できたのです。

 コロナ禍を経てBeBlockでは、事業そのものの定義を見直し業態変化を遂げています。コロナ前に人口減少など外部環境の変化を想定し、Webマーケティングのノウハウを蓄積してきました。そのため、商談や社内コミュニケーションはもちろん、ビジネスフローをWebで完結させるビジネスモデルを構築し、リアルとオンラインのハイブリッド営業を展開しています。飛び込み営業やテレアポは一切行っておらず、新規営業のきっかけづくりはWebのみ。「このハイブリッド営業の仕組みが機能したからこそ、業績を落とすことなく成長できた」と松村氏は言います。

自由な働き方で多様な人材が活躍

 BeBlockのユニークな試みとして、出退勤などの定時がないというものがあります。1週間40時間、1カ月160時間でどのような仕事をするのか、社員自身に考えてもらい自由に時間を管理してもらっているそうです。社員教育もオンラインの独自講座を設け、社員が興味のある分野の学びができます。マネーリテラシーや仕事のスキル、生き方など、さまざまなテーマを提供しています。これらは「自立」「自浄」「自走」を促す仕組みのひとつと言えます。正社員は、男女ほぼ半々で平均年齢30歳、外国人も障害者も働いています。人材採用が年々厳しくなっている状況のなか、若者が集う企業と言えます。

 今後はアニメなどの版権を購入して商品を販売するライセンス事業を強化していきたいと言います。アニメ業界はコロナでも回復が早く、巣ごもり需要もあり、Webを通じて効率的に注文が入ってきました。イベントを開催すれば世界中から顧客が集まるなど、「推し活」に代表される底堅い需要が見込まれます。人口減少が深刻な社会問題になるなか、こうした需要の分野の人流を限界集落の解消に生かす構想など、自社の事業を通じた地域発展に向けたビジョンが語られました。

会社概要

設立 2002年
資本金 2,000万円
従業員数 172名
年商 24億円
事業内容 企業・飲食店向けの販促支援及び、グッズ製作・ライセンス事業
住所 名古屋市中村区名駅五丁目21-8 船入ビル3F
電話 052-446-5544
URL https://www.beblock.co.jp/