
三共レンタルサービス(有) 代表取締役 栩原 吉教氏(和歌山)
三共レンタルサービス(有)(栩原吉教代表取締役、和歌山同友会会員)がこれまで長年にわたり取り組んできた障害者雇用の取り組みを紹介します。
障害者雇用に至るまで

三共レンタルサービスは現社長の栩原氏のお父様が1963年に創業。従業員は健常者のみでした。当時は障害者雇用への知識や取り組みもなく、働く障害者に対しての理解もされていない時代でした。そんな中、クリーニング工場内は単調な作業、容易に扱える機械も多く、障害のある人でも十分にやっていけるのではないか?との考えから障害者雇用に取り組みはじめました。特に知的障害のある方の働く場の確保に力を注いできました。1998年には代表取締役として栩原氏が社長に就任し、2005年には26名の障害のある方が活躍。現在でも従業員全体の66%が障害者であり、平均勤続年数は21.7年、長い人は39年勤務しています。
現在の業務 貸しオシボリ 貸しタオルのレンタル業務

現在の主な業務は大阪、奈良、和歌山県の飲食店・サービス業などで使われる『貸しオシボリ』や美容店・理容店、観光ホテルや旅館、ゴルフ場などで使われる『貸しタオル』です。
レンタルクリーニング業務は、回収→加工→納品→また回収のサイクル業務です。洗濯工場では、作業工程の細分化を行い、個々の障害特性に合わせた作業を提供し、またそれに合わせた機械が配置されています。本人の能力と持続力などをよく見極め、精神的負担が軽くなるよう支援者(工場長がジョブコーチ、工場長を含む3名が障害者職業生活相談員の資格を所有)が障害者をサポートして、自分の仕事に責任を持って長く働き続けられる職場づくりを心掛けています。
クリーニング加工には優れた抗菌、抗ウイルス剤を導入。きっかけはお客様のところから回収されたオシボリを従業員が素手でそのまま触ることを目にした社長が「彼らに安心して働いてもらうためには良質な抗菌をしなければ」と気づいたからでした。
新型コロナウイルスの影響

飲食店や美容室、観光ホテル・旅館などにオシボリやタオルを卸している同社にとって新型コロナウイルスは大きな影響がありました。顧客先が軒並み休業を強いられる中、栩原氏は「この業種終わったな」と真剣に思いました。しかしそんな状況下でも雇用調整助成金を活用して従業員には給与を減額することなく働く場を提供していました。そしてコロナ禍で発揮したのが上述の徹底した抗菌、抗ウイルス加工されたオシボリやタオルです。お客様とそのエンドユーザーに安心と安全をもたらしました。
和歌山県内初の「もにす認定」
もにす認定は企業と障害者が、明るい未来や明るい社会の実現に向けて「ともにすすむ」という思いをこめて名づけられたもので、障害者雇用の促進や安定した雇用状況などを評価し、優良な中小企業主を厚生労働大臣が認定するものです。三共レンタルサービスは2021年3月に和歌山県第1号の認定となりました。栩原氏は「努力が形になって嬉しい。安定して雇用できるのはお客様のおかげ。従業員は家族のような存在で毎日顔を見るのが楽しみ」と語りました。
社長の思い

同社は今年で創業60年です。「これまで色んな苦労があったけど、ここまで続いたのは従業員がいたから」と栩原氏はしみじみ語ります。
栩原氏は2010年にNPO法人和歌山自立支援センターを設立し、そちらでも障害者雇用啓発に努めていて、運営する障害者就労継続支援A型事業所「ともにー」でも多くの障害者雇用を行っています。
「障害に関係のない共生社会が実現できるようこれからも頑張っていきます!」と栩原氏は熱く語りました。
会社概要
三共レンタルサービス有限会社 | |
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創業 | 1963年 |
資本金 | 1,000万円 |
業務内容 | 貸しオシボリ、貸しタオルのクリーニング・リネンサプライ |
従業員数 | 18名 |
所在地 | 和歌山県和歌山市今福2丁目7番21号 |
TEL | 073-422-0480 |
URL | http://sankyo.tv/ |