【第2回】新時代を切り開くには、社会との信頼関係から 西日本環境開発(協組) 代表理事 岸本 拓也 氏(広島)

西日本環境開発(協組) 代表理事 岸本 拓也 氏(広島)

 広島県竹原市に会社を構える西日本環境開発(協組)(岸本拓也代表理事、広島同友会会員)は、1978年に設立され、廃棄物の収集運搬・中間処理やリサイクルを行っています。

 岸本氏は、義理の父親の会社に後継者がいないことを知り、「楽して社長になって、楽してお金を貰おう!」と2010年に入社し、2013年に同友会に入会しました。そして、2021年に代表交代をしました。

後継者としての覚悟

 実際に入社してみると、業績や社内の雰囲気がよくないことが分かりました。同友会で見たよい会社・経営者と自社の現状にギャップを感じ、代表や社員を否定し、対立していたと岸本氏は当時を振り返ります。特に対立していた工場長には、「自分が代表になれば辞めさせてやる」とまで思っていました。

 しかし、徐々に対立する気力もなくなり、「心折れ根性なし期」へ突入します。後継者として向き合わないといけないことから目を背け、同友会への参加も、周りに何か言われないようにほどよく参加する程度だったと言います。

お前の会社はいつよくなるのか?!

 そんな岸本氏に転機が訪れます。きっかけは同友会の先輩でした。当時、業績も社内環境もとてもよいとは言える環境ではなかったことを伝えると、「県外には例会よりも多くの学びがあるぞ」と全国行事への参加を熱心に勧めてきました。ですが、岸本氏も絶賛「心折れ根性なし期」だったため、いつものように「いつか会社をよくしてから絶対に行きます」と、その場を丸く収めるための社交辞令でかわそうとしました。しかし、少しばかり沈黙が続いた後「なら、お前の会社はいつよくなるんや?」と先輩会員も諦めません。

 この質問に答えることができなかった岸本氏は、1年という期間を決めて本気で取り組んでみようと思い、2018年に自分の理解の外へ飛び出しました。県外へ出てまず自分の立ち位置を知ります。社員には主体性を求めながらも、自分が主体的ではなかったこと、客観的に自分を見ると自分の悩みは大したことではないことなどに気づきました。そして、人のことを自分のことに置き換えて、その人の立場に立って真剣に考えるようになりました。

 ここから岸本氏の変革が始まります。

社長が変わる、会社が変わる。人を生かす経営へ

 まず社内では、対立していた代表や工場長と交流をとったり、社内でグループ討論を行ったりしました。同友会では、全国の青年経営者が集まる場所に悪い決算書を持って積極的に参加しました。厳しい意見や指摘をされながらも、その人の過去の話を聞き、自分にもできると心のバランスをとっていたと言います。また、青年部では役を拝命しました。同友会でさまざまな立場を経験するうちに、組織の中のさまざまな立場の人の気持ち、感情、背景を理解するようになります。それが、自社での関わり方、伝え方の変化につながっていきます。このころから頻繁に起きていた対立が無くなっていきました。

 変わらなければいけないのは、社員ではなく自分だということに気が付いた岸本氏。自分の理解の外にある価値観、実践している人のアドバイスを素直に受け入れて形になるまで実践し続けました。そして、自分が変わると社員もどんどん変わっていくのが分かりました。

 そしてこれからも、「ニシカン」(西日本環境開発の通称)は廃棄物から未来を創っていきます。

 また岸本氏は、9月14~15日に開催される、第51回青年経営者全国交流会㏌広島の第5分科会で報告者として登壇します。入社から現在に至るまでの自己・会社の変革をぜひご自身の耳でお聴きください。

会社概要

西日本環境開発(協組)
設立年 1978年
資本金 540万円
年商 1億8,500万円
従業員数 18名
事業内容 廃棄物の収集運搬・中間処理/リサイクル
住所 広島県竹原市新庄町10466-3
電話番号 0846-29-1717
URL https://nishikan-union.jp/