【第4回】学生が入社したくなる会社　山梨ユニフォーム（株）　代表取締役　田中　昇氏（山梨）

山梨ユニフォーム（株）　代表取締役　田中　昇氏（山梨）

　2012年に設立した山梨ユニフォーム（株）（田中昇代表取締役、山梨同友会会員）。新卒者が増え続け、8名でスタートした会社が41名の社員を抱えるまでに成長しました。

　作業着やユニフォームの販売を手掛け、ロードサイドの小売店「WORK-S」も今年3店舗目がオープン。破竹の勢いの同社を山梨同友会事務局インターンシップ生2名が訪ねました。

SNSで魅力を発信

　若手社員が企画し、商品紹介をSNSを通じて発信しています。実際に社員が作業着を試着した楽しい動画が配信され、多い時には200万回に迫る視聴があります。小売店にはSNSの効果で県外からの来店もあります。

　会社説明会では学生の列ができ、高校新卒予定者にも人気で会社訪問依頼が絶えません。その魅力はどこにあるのでしょうか。

顧客に支持される独自性

　「WORK-S」の競合は、大規模ホームセンターや全国資本の作業着等販売のロードサイド店です。優位性は洗練された商品群、カスタマイズ、スピードの三つにあります。センス良く選び抜かれた商品群、作業着などには自社デザイナーのデザインによるオリジナルの刺繍やプリントでカスタマイズを施し、その工程は内製化され、即日持ち帰りのできるスピードも含めてこだわりのある職人に圧倒的に支持されています。

　法人相手の事業部は、顧客のニーズを喚起する積極的な提案型の営業が強みで、先進的なデザインやこまかな機能変更に応え、顧客の信頼を得ています。

激変した経営姿勢

　創業当初、業績を上げるため鬼のように人を使い、疲弊した社員が辞めていく状況が続いていました。田中氏は同友会で学ぶ中で「人が定着しなければこの先は無い。社員が幸せになれなければ経営している意味がない」ということに気づきました。

　経営指針書の前提に「社員は仕事を通じて幸せになりたいと思っている」「会社は社員の人間らしい生活を保障しなければならない」という考え方を構築しました。人間らしく生きることは、社員の自主性の発揮によって実現されると考え、一人一人の責任と権限を明文化し、やりがいと楽しさを実感できる環境整備に注力します。「1日の1/3以上を占める仕事が楽しいと思えることが人生の幸福度を格段に向上させる」と田中氏は語ります。

キーワードは「笑顔」～労働環境大変革～

　社員が楽しく、生き生きと働く同社の根幹は指針書に基づく経営と労働環境の整備です。

　「定時で帰る」、「有給は消化する」社内風土を3年ほどかけて築きました。その日の仕事量を見える化し適正にした上で残業を許可制に変更することで残業がほとんどなくなりました。また、月ごとに有給の取得実績をグラフ化し有給消化を促進、結果として定着率が向上し、過去5年で新卒を12名採用し11名が定着しています。

　山梨ユニフォームの10年ビジョンは「笑顔カンパニー　～関わる人すべてを笑顔にする会社～」です。関わる人には社員の家族も含まれ、「社員は家族にとってはお父さんやお母さんだったり、息子や娘だったりする。その人らしさを損なわずに働くことを最大限サポートしてあげたい」という思いがあります。

事業の社会的意義への共感と能力を発揮できる会社

　売上高は昨期７億円を突破し、今期は8.3億円を見込みます。山梨県から積極的な働き方改革を実現した企業に贈られる「YAMANASHIワーキングスタイルアワード」を受賞し、女性活躍を実現している企業を対象とした「山梨えるみん」の認証も取得しました。

　「ユニフォームを通して日本を元気にする」をミッションに掲げる同社は、ユニフォーム販売という仕事で顧客の会社の成長もめざしています。そして、笑顔を広げ日本を元気にするという社会的意義に共感して働きながら成長している社員を見て、学生もこの会社であれば成長できると自身の未来像を重ねます。

　労働環境の整備は大前提、その上でいかに企業の社会的意義を明確にできるか。そして仕事を通じた人間的成長を全社で体現し、それを発信していくことが学生の心を掴んでいます。

（この記事は山梨同友会事務局インターンシップ生2名が執筆し、事務局が編集しました）

会社概要

山梨ユニフォーム（株）
設立	2012年
資本金	800万
年商	7億1,000万円
従業員数	41名
事業内容	法人向けユニフォームの提案および販売、ワークウェアの小売販売・EC販売、刺繍・プリント加工
住所	山梨県南アルプス市西野2343-1
電話番号	055-283-6355
URL	https://yama-uni.com/