【第30回】強みを生かし、社員と共に育ち合う 東京ブレイズ(株) 代表取締役 松 康太郎 氏(埼玉)

東京ブレイズ(株) 代表取締役 松 康太郎 氏(埼玉)

 東京ブレイズ(株)(松 康太郎代表取締役、埼玉同友会会員)は、ろう付加工・熱処理加工という業務の他、ろう付材料販売や装置の製造までトータルで行う業界でも珍しい会社です。ろう付技術に関して学会での発表や論文執筆を行い、特許も取得しています。

「経営する覚悟」、「経営者になる覚悟」を決める

 松氏は2019年に経営指針づくりセミナーを受講し指針を作ったものの会社はまったくよくなりませんでした。社員に変化はなく、こちらの思いが伝わらないと悩んでいました。会社としても経営や数字は成り行き任せにしがちで、「社員を育てる」という意識がなかったそうです。
 しかし、同友会活動をしていくと、会社にはさまざまな社員がいることに気がつきます。「その社員たちをどう育成し、イキイキと働いてもらうか。そのために一番大事なのは、強みを見つけて生かすこと。これが経営者の仕事だ」と思い至りました。
 「強みを生かすとは、まずは、強みだけでなく弱みも、そして自分の、相手の、自社の強みと弱みを知ることが必要です。さらに、自社の強みである顧客からの期待を知っているか」。2代目である自分が会社を組織化するんだ。それには社長が変わるしかない!と、「経営する覚悟」、「経営者になる覚悟」を決めました。

経営者のあるべき姿を見せることで人材育成

 社員に対しての社長の仕事は、ゴールを見せて、社員をワクワクさせること。「会社としてワクワク働ける環境を作ることで、社員はイキイキと働けるのです。そのためには、それぞれの役割の明確化と、組織の目的・目標の明確化が必要です」と語っています。

 社長は社長にしかできない仕事を優先させることで、社長のあるべき姿を見せることができます。優先することを明確にするからこそ、人材育成が可能になります。人材育成が進むと、社員の成長によって社長も成長し、会社の成長につながります。東京ブレイズがめざす人材育成は、自分で“考える”“行動を起こす”“判断できる”“表現できる”という生きる力をつけることだと松氏は言います。

 そこで、経営層から変わろうと3年ほど前から経営会議を始め、社員に対しては人事評価制度により、教育と評価と報酬の制度も整えています。社員が入社してからどう成長できるかを皆で話し合い、人を育てるためにチームで育成する体制もでき上っています。

人を生かす経営がわからないからこそ

 松氏は、人を生かす経営とは、自分も含めたすべての人が生きる経営だと認識していても、思い描いている経営の2割ぐらいしかできていないし、いまだに“人を生かす経営”はわからない、と語ります。だからこそ、埼玉同友会代表理事主催の有志による『人を生かす経営勉強会』に毎月参加して日々の会社経営の振り返りを行っています。

 会社は、栃木県さくら市に新工場を建設し、稼働を待つばかりの状況となっていて、さらに海外でもインドネシア進出の機会を狙っています。また、社内ではPRや情報発信に力を入れ始めており、社員による動画プロジェクトが始動し、会社案内や新卒採用につながるような動画を製作しています。これは社員たちの笑い声が絶えないそうで、楽しんで取り組んでいる様子がわかります。

 自社の強み、社長としてのあるべき姿にとことん向き合い、試行錯誤してきた松氏の様子は確実に社員へ伝わり始めています。

東京ブレイズ株式会社
設立年 1970年
資本金 3,000万円
従業員数 70名
事業内容 ろう付加工および熱処理加工、ろう付材料の製造と販売、ろう付装置の製造と販売
住所 本社 東京都世田谷区南烏山3-23-10  TEL 03-3300-1141
ブレイジングセンター 埼玉県志木市上宗岡4-12-34  TEL 048-473-5373
設備製造工場 埼玉県志木市上宗岡5-19-27  TEL 048-456-5403