【第46回】働きやすさが事業の好循環を生み出す (株)Radix 代表取締役 橋 雅美氏(石川)

(株)Radix 代表取締役 橋 雅美氏

 橋氏((株)Radix代表取締役、石川同友会会員)は2019年に社員数10名で開業し、2023年には100名を超える組織に成長しました。その過程で、人を雇用する難しさと向き合い、会社の方向性と社員の働きやすさを両立するという、今までに経験したことがない難しい舵取りが求められました。同友会での学びを経て、どのように会社が変わったのでしょうか。

開業直後にコロナ禍が発生し社員の負担増!

 (株)Radixは、訪問看護・リハビリ事業を行っており、金沢市を中心に月間420件以上の依頼先に社員を派遣し、日々高品質のケアを提供しています。奇しくも開業直後に新型コロナウイルスが発生し、病院の受け入れ能力が激減したため、訪問先は見る見る増えていきました。地域の役に立つために、すぐに社員を増員する決断を下し、実行しました。しかし、24時間体制の看護業務は心身ともに疲弊をもたらし、新たに社員を雇用しても安定せず、常に募集をかける状況が続きます。せっかく育てた社員が激務に耐えきれず疲弊していく姿を見て、「このままではいけない。何とか働きやすい会社に変えなくては」と危機感を募らせていました。

同友会での学びをすぐ実践し、働きやすい環境へ改善

 そんな時に、同友会の存在を知り入会します。人を生かす経営を実践している経営者と出会い、自分が何をするべきか。そのキッカケを得て、さっそく社業に生かします。訪問看護業界は仕事の性質上、離職率が高いことが常識となっています。しかし、社員を大切にする経営方針を打ち出すことで安定した人材を確保することが最も重要だと気づきました。そこでまず取り組んだのは、現場ごとに直行直帰を可能にするため、業務内容や社内コミュニケーションをオンライン化することでした。社員一人一人にタブレットと社用車を支給し、社用車での帰宅を許可しました。これにより、業務前と終了後に会社に立ち寄る必要がなくなり、無駄な時間を省くことができました。さらに夜勤の場合は、翌日を休日とし、シフトワークでもしっかり休養がとれる体制を整えました。訪問看護中に現場の社員だけでは対応ができない場合には、近くにいる熟練社員がヘルプに入る体制も整えました。こうして、重労働である業務を働きやすい環境に変え、社員が育つ環境を整えていきました。

信念を持って、社員一丸で全力投球

 元々、この仕事が好きで入社してくる人が多かったため、働きやすいことで社員満足度が大幅に向上し、疲弊する社員の数も激減しました。また、社員が知人や友人を紹介してくれて入社するケースも増えました。これは、業界内でも珍しく、同社の大きな強みとなっています。社員が安定して常駐してくれることで熟練者が増え、高品質なケアを提供しやすくなり、その評判から訪問先が増えるという好循環を生み出しています。

 橋氏は、「病気になっても、自分が居たい場所で病気と付き合いながら生きていきたい」と考える患者様を訪問看護を通して支えることを信念として、これからも社員一丸となって邁進していきます。

(株)Radix
設立年 2019年
資本金 100万円
従業員数 62名(2024年6月現在)
事業内容 訪問看護・リハビリ事業/居宅介護支援事業/地域連携支援事業
住所 石川県金沢市泉1丁目7番3-2号
電話番号 076-280-2011
URL https://www.radix-flos.com/