(株)柴田畜産 代表取締役 柴田諭氏(秋田)
柴田氏((株)柴田畜産代表取締役、秋田同友会会員)は2015年の経営指針を創る会受講をきっかけに、現在は年商6億円・社員数53名(受講当時は年商3億円・社員数22名)と会社を成長させています。人口減少率が全国No,1の秋田県で、売上・社員数ともに2倍に成長させた理由と今後の展望を紹介します。
強靭な会社にするべく、経営指針を創る会を受講
「受講のきっかけは、TPPという大きな外部環境の変化でした」と語る柴田氏。海外から安い食肉が輸入され、日本の畜産農家の存続が危惧されました。生産農家と運命共同体である(株)柴田畜産にとって突然の脅威です。当時は、仕入れた枝肉を解体し販売先に納品する、食肉流通の標準的な卸売事業で、価格決定権は自社にはありませんでした。外部環境の変化に対応できる強靭な会社にするべく、経営指針を創る会を受講します。
「つながり」の中で開発したブランド肉
経営理念・10年ビジョンをつくり、絵に描いて社内に浸透を図ります。そして達成するためには、1本の柱では実現できないと考えました。さまざまなチャレンジを起こし始めると、次々と新しい「つながり」が生まれてきました。
第一に、「あっぷるとん」(商標登録済み)の開発です。きっかけは、柴田氏が幼いころから勤務している社員(現専務取締役)のご親戚の畜産農家との「つながり」です。横手市平鹿町は従来からりんご栽培が盛んな地域でしたが、天候や害獣被害で商品にならない廃棄リンゴの処分が大きな課題でした。その解決策として養豚の餌として食べさせているとの話を耳にします。資源循環型の取り組みに共感し、「日本の畜産業の差別化戦略の成功例に育てよう」との思いで、地域ブランドとして売り出しました。現在では、独特の甘みのある地元特産肉として定着しています。また、「あっぷるとん」を使用した長期熟成生ハムの製造も開始、首都圏などに販売し、好評を得ています。
地域との「つながり」で復活した思い出の味
第二の「つながり」は、イベントに欠かせない地域の文化となっていた老舗焼き鳥店とのつながりです。後継者不在で店を閉め、以前より取引のあった柴田氏も寂しい思いをしていましたが、「地域の文化を絶やしてはいけない」との思いで、元店主の奥様と、長く焼き鳥店で働いていた方(現在は同社の社員)の協力を得ながら、思い出の味の復活に取り組みます。味を引き継ぎ、商品改良を重ね、価格決定権を持つテイクアウト事業を展開します。隣接する市へ2店舗目を開店し、現在では総売り上げの18%を超える事業へと成長しています。
さらに同友会の「つながり」で、プロサッカー試合会場でのキッチンカーによる販売も行いました。1日で1,000本の焼き鳥が完売する盛況ぶりで、秋田市への店舗展開の足掛かりとなっています。
人を生かす経営の実践で、人が集まる会社をめざす
経営指針の成文化をきっかけにさまざまなつながりの中で事業の三本柱を構築し、外部環境の変化に負けない会社づくりをしています。事業拡大の秘訣は“人”と“理念”。関わる“人”一人一人と向き合い、理念を共有しながら事業を進めています。会社は経営者一人では成長できない、社員がいるから成長する、と改めて実感させられる実践です。「人が大好きで身近の人を笑顔にすることが大好き」と、最後まで笑顔で語る柴田氏でした。
(株)柴田畜産 | |
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創業 | 昭和45年 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 53名(うちパート17名) |
事業内容 | 食肉総合卸・食肉製品製造業 |
住所 | 秋田県横手市平鹿町浅舞字沈樋50-4 |
電話番号 | 0182-24-3202 |
URL | https://sibatameat.com/ |