(株)メガネマーケット 代表取締役 久賀きよ江氏(中同協)
2000年代以降、眼鏡業界では大手ディスカウント店が台頭し、誰もが気軽に安価で眼鏡を買える時代になりました。業務はマニュアル化されてアルバイトでも検眼ができ、日本全国の店舗で同じ眼鏡が低価格で製作できます。
大きな市場の中で安く売る大手の業態に対し、一律に作られた眼鏡が合わずに悩むユーザーや自分に合った眼鏡が欲しいというニーズも存在します。埼玉県に2店舗、千葉県に3店舗を展開する(株)メガネマーケット(久賀きよ江代表取締役、埼玉同友会会員)は、顧客の要望に応えながらその人の生活スタイルにあった眼鏡を提供し、地域で暮らす人々の快適な生活を支え続けています。
経営理念を軸とした経営姿勢の確立
「何のために経営しているのか」を問い続けて自身の経営姿勢を確立してきた久賀氏。経営理念に「目と耳の快適生活の提案で地域と共に歩み喜びを共有する企業を目指します」と掲げて自社の立ち位置を明確にし、理念実現のために事業ドメインを広げています。
そのひとつが高齢者との関わりです。目だけでなく聞こえ方に悩む顧客向けに補聴器を取り扱い、店舗では聴力測定も行っています。視力の低下は聴力と認知機能にも影響すると言われており、聞こえの悩みや相談を聞きながら地域の高齢者に「豊かで快適な生活」を提供するための取り組みです。また、店舗までの送迎サービスや自宅へ出向く出張健診、さらには子ども向けに医療面・機能面で配慮されデザイン性の高い製品を扱う「こども眼鏡館」など、一人一人に応じたきめ細かなサービスを通じて、地域の幅広い世代の人々の精神的満足度の向上を図っています。
店舗では、広域に複数の眼科と連携をとり処方箋による対応も行っています。お客さまは自分に合う眼鏡を作ることができ、眼科はよりよい処方箋による信頼を経て評判が向上。そのため眼科が同社での製作を推薦してくれ、患者と眼科そして自社のそれぞれが共存して地域を成り立たせています。「同友会で学び続けると、数年後に根本的な経営のあり方にたどり着く。経営者としての本来のあり方を追求するのが同友会」と久賀氏は力強く話します。
「ありがとう」が人を成長させる
複数店舗を構える同社では、社内のコミュニケーションにメッセージツールを活用しています。全社員が当日の接客数や販売数を投稿し、その日の出来事や感じたこと、お客さまの声などを自由に記述して社内全体で共有しています。同期や同年代の社員の活躍を知ることができ、お互いにアドバイスし合うことで刺激やモチベーションにつながり、自ら気づいて行動する社員が育っています。「お客さまからの『ありがとう』『いてくれてよかった』の言葉は社員の存在そのものが認められる経験になり、経営者や上司の指導以上の気づきや成長につながる。商品やサービスにお金を出してくれるお客さまから感謝の言葉をもらえるのはとても幸せなこと。地域や社会の役に立っているという実感が一番の成長の原動力だと実感しています」と語ります。
そんな久賀氏は数年後に事業承継をする予定です。これまで新卒採用を続けてきたことで、久賀氏の姿を長年見続け、理念や価値観が浸透した社員が育っています。それでも事業承継にはさまざまなハードルがあると言いますが、社内での理解向上をはじめ準備や新たな仕掛けを進めています。医療技術の発達や科学技術の進化によって、いずれ眼鏡が必要無くなる時代が来ると考えており、「新規事業開拓をしなければ誰が社長をやっても同じこと。自分と同じことをやってるだけで経営者にはなれない。経営者は何歳になっても新しいことに興味があり、何かをしたいという思いを一生持ち続ける生き物」と笑って話します。
自社の価値を示す経営理念のもと、既存の価値観にとらわれない新たな挑戦が始まっています。
(株)メガネマーケット | |
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設立 | 1991年 |
資本金 | 1,000万円 |
社員数 | 30名(男性12名、女性18名) |
事業内容 | メガネ類の販売、補聴器の販売 |
住所 | (本社)〒349-0212 埼玉県白岡市新白岡4-14-5 ルネアイン1階 |
TEL | 0480-38-9388 |
URL | https://www.megane-market2.com/ |