(株)上友農園 代表取締役 上野山 幸雄氏(和歌山)
日本有数のみかん生産地和歌山県有田市において120年以上の歴史を誇る(株)上友農園(上野山幸雄代表取締役、和歌山同友会会員)のこれまでの取り組みと今後への思いを紹介します。
家業を承継
上野山氏は農家の息子として生まれ、農業科のある地元高校に進み、卒業後家業に就職。24歳の時先代より経営を受け継ぎますが、ちょうどそのころ、有田地域のみかんの木に“かいよう病”が発生し、商品になるみかんが激減して売り上げが半減、融資を受けざるを得ない状況となり、借金を返済するために高く売る方法はないかをとことん考えました。
東京の市場へ
元々関西の市場へ卸していましたが、関東の市場では普通のセリではなく、相対という、売り手と買い手が1対1で直接取引し、価格や数量などを決める販売方法が盛んで、そちらの方が品質や思いが分かってもらえるのではと卸すようになります。しかし、市場価格に左右され、価格決定権がないのはメーカーとしては致命的と考えるようになりました。みかんは11月から1月が旬でこの3カ月でほぼ1年の収益が決まってしまいます。自分で価格を決めて売る方法はないか、悶々とする日々が約10年続きました。
価格決定権を持つ
ある時、展示会でスーパーのバイヤーさんと出会い、みかんのおいしさを理解してもらい、直接卸に至りました。そこでわかったことは、産地直送、市場にはない品質のものを作らないといけないということでした。またスーパーの店員さんにもファンになってもらうことや商品の置き場(目に入りやすい位置)や広さ(売れる商品ほどスペースを多く取ってもらえる)など緻密な考えが必要であり、根本はモノを売るのはお客様に喜んでもらうためということに気づきました。
会社組織に
個人で農業をやることの限界もあり、息子の大学卒業を機に2016年に会社組織になりました。
上野山氏のその時の思いは10年間で会社の基礎を作ろうというものでした。売り上げを上げるのは単価×量ですが、単価は相手もあることなので上限がある反面、量は自分で増やすことができるため、毎年1ha(ヘクタール)ずつ増やそうと自身で決めました。8年経った現在は4haから12haと、ちょうど8ha増えました。
また、1年中販売できるよう、みかん以外にデコポン、春峰(しゅんぽう 柑橘の新品種)、レモンなどの栽培、そして加工品としてジュースの製造販売も手がけました。そして畑の数も40カ所近くになり、データ化の必要性があり、その分野に長けた新入社員を採用し活躍しています。
同友会に入会して
ゲストとして初めて例会に参加したのが現代表理事の報告でした。経営に対する真剣な話や、その後のグループ討論で若い人が自分の意見を言ったり、うまくまとめている姿を見たりして学べる会だと確信、その日に入会しました。その後は全国大会や役員研修会にも積極的に参加。「全国には見本となるすごい人がたくさんいる。その人たちから吸収して事業に生かしたい」また、同友会の人を生かす経営に共鳴し、「経営者といえども得意、不得意がある。不得意なところは社員の力も借りて、一緒に成長していくことが必要」と熱く語ります。
これからについて
会社のミッションは「有田から世界をアッとおどろかす」です。世界に質の高い柑橘類を輸出することを描いています。
また有田にはよいものを作っていながら販売のノウハウを持たずに苦戦している農家がたくさんあります。そんな所とも連携してこれまで培った経験をもとに「お客様に喜ばれるものを販売していきたい」と思いを語ります。
有田地域の活性化ひいては日本の農業を前進させるべく上野山氏の挑戦は続きます。
(株)上友農園 | |
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設立 | 2016年 |
資本金 | 300万円 |
従業員数 | 7名(うちパート2名) |
事業内容 | 柑橘類の生産、選別出荷、販売 |
住所 | 和歌山県有田市千田2189 |
電話番号 | 0737-20-4512 |
URL | https://uetomo-farm.com/ |