【第7回】新事業への挑戦が社内の組織強化を生んだ~地域と人をつなぐ架け橋となる企業をめざす~ (株)comme-nt 代表取締役 後藤 広晴氏(宮城)

(株)comme-nt 代表取締役 後藤 広晴氏(宮城)

 山形県寒河江市出身の後藤広晴氏((株)comme-nt代表取締役、宮城同友会会員)は、2014年に(株)comme-nt(コメント)を創業。広告業を本業とし、音楽事業“SAIKORO”、イベント事業“二日食堂”を運営するほか、地元である寒河江市の魅力を仙台で発信し、仙台と山形の交流のきっかけを作り出すことを目的に2019年には寒河江市のアンテナショップ「蕎と旬 さがゑもん」をオープンしました。さがゑもんでは山形名物の冷たい肉そばや芋煮定食、地酒などを楽しむことができます。さらに2022年には、寒河江産の果物をふんだんに使用した焼き菓子を販売するパティスリー「サガエサン」を同じく仙台市内にオープンしました。

社員と思いをすりあわせる

 パティスリー事業は、さがゑもんで働くスタッフから「寒河江市は1年を通して果物が採れるのだから、スイーツの展開ができないか」というアイデアがきっかけだったそう。仙台市内で開催されたマルシェで試験的に焼き菓子を販売し、その実績を基にプロジェクトが本格化しました。さがゑもんのオープン時は、異業種である飲食店への挑戦ということで、何もかも社長が準備し、自ら接客を行うなど、トップダウンで推し進めたと言います。一方、スタッフ発案のパティスリープロジェクトはボトムアップ型で展開。現場の意思決定を優先したため、出店場所や店づくりのコンセプト、商品開発などの準備だけで半年を費やしました。開店後の接客オペレーションなども開店してから現場で作り上げていきました。

 新店舗を立ち上げたことで社員数も増加。人数が増えると、コミュニケーション不足による問題も増えていきます。組織にはさまざまな価値観があります。全員の価値観が完璧に合致することはありませんが、スタッフ同士の「ちょっとしたことを伝える」ことを大事にしています。例えば、「料理の盛り付けがきれいだったよ」、困っている同僚に「大丈夫?」と声掛けをするなど。「日々の思いをすり合わせるのがコミュニケーションだと考えています」と後藤氏。自分はどう考えているか、相手はどう思っているかの共有がないとすれ違い続けてしまいます。

地域と地域をつなぐ架け橋

 パティスリープロジェクトを始める際に意識したことは、本業である広告業務を担当する社員をメンバーに入れて、ブランディングから深く関わってもらったことです。オープンまでに時間はかかりましたが、広告(BtoB)から見たパティスリー(BtoC)、パティスリーから見た広告をミックスすることで、部署間連携を深め、お互いの強みや役割にも気づくことができたと言います。

 「さがゑもん」と「サガエサン」という2つの店舗を通じて、寒河江市の外から魅力を発信するとともに、いずれは地元で地元の魅力を発信することの両方に取り組んでいきたいと後藤氏。店舗に来店されるお客さまを「寒河江の応援サポーター」と捉えると、単なる蕎麦居酒屋、洋菓子店ではなく、地域と地域をつなぐ架け橋としての店舗という役割を担っています。続けていくことで、寒河江に新しい仕事が生まれたり、無くなるはずだった仕事を無くさないことにつながるという熱い思いを持った後藤氏の取り組みはこれからも続いていきます。

(株)comme-nt
創業/設立 2014年
資本金 300万円
従業員数 26名
年商 1億5,000万円
事業概要 企業・自治体のブランディング、広告の企画・制作と音楽イベント、飲食事業
電話番号 022-224-5640
住所 〒980-0812 宮城県仙台市青葉区片平1-2-22 5F
URL https://comme-nt.co.jp/