【第20回】思いやりの心をのせ、思いをつなぐ ニチラス運輸(株) 代表取締役 田城 敏史氏(鳥取)

ニチラス運輸(株) 代表取締役 田城 敏史氏(鳥取)

 ニチラス運輸(株)(田城敏史代表取締役、鳥取同友会)は、米子市で「運送サービス業」を営んでいます。1966年に創業された会社を先代が買って1971年に「ニチラス運輸」に社名変更、2021年に田城氏に代表交代しました。

 田城氏は、専務時代に経営を学ぶ場を探す中インターネットで同友会の存在を知り、自ら連絡を取って2009年に入会します。入会後、鳥取同友会では経営指針成文化を行う「経営指針を創る会」の当期の活動が終了していたため、岡山同友会の活動に参加。そこで「あなたは何業ですか?」と問われ、「運送サービス業」という造語で自社事業を定義し、経営指針を成文化しました。

新たなビジネスモデル

 田城氏は同友会の全国行事に何度も参加しながら学びを深めていきました。それを生かして導入したのが「中型小ロット混載輸送(略:混載便)」です。今ではニチラス運輸の最大の強みとなっています。

 中型小ロット混載輸送は、少量の荷物や貨物をトラックやコンテナなど中型の輸送手段に混載し、小ロットで運ぶことで問屋や商社、メーカー、エンドユーザーなどさまざまなお客さまから受注することができます。納期に時間的猶予のあるモノを運ぶため繁忙期や閑散期がなく、景気に左右されづらいことも特徴です。お客さまに低価格で便利なサービスを提供でき、環境負荷の軽減にもつながります。

 2019年から貸倉庫事業も開始し、1週間というスパンで集荷・輸送・納品を行う中で、自社が価格決定権を持てるような運営にしています。今後、高速道路のインターチェンジ近くに、新たに大型倉庫を建設する計画も進んでいます。

多様な採用と労働環境整備

 貸倉庫事業に従事する社員も追加で採用する中、バスドライバーを引退した70歳の社員など高齢社員も活躍しています。また、60歳で未経験の女性ドライバーや子育て中のシングルマザーのドライバー、19歳の若者や障害をもつリフトオペレーターなどさまざまな人を採用。社員数は増え続け、現在は社員数43名、パート・アルバイト10名が活躍しています。

 また、運送業界ではまだ珍しいとされている週休二日制に変更し、給与のベースアップも実施。働き方改革関連法によるいわゆる「2024年問題」では、トラックドライバーの時間外労働規制に各社が対応に追われる中、同社の今年度の売り上げは過去最高となる10億円を突破する見込みです。

 同友会で学びながら「何のために経営しているか」という自社の目的や存在意義を深め続けてきた田城氏。「地域の人々や社員さんなど、関わる人たちの幸せをつくるための器にしていきたい。この先も経営者として、地域に必要とされる会社として、この荒波を乗り越えていきたいと思います」と語ってくれました。

ニチラス運輸(株)
創業 1971年
資本金 1,000万円
事業内容 一般区域貨物自動車運送業・倉庫内業務・倉庫業
社員数 43名(パート・アルバイト10名)
所在地 〒683-0103 鳥取県米子市富益町56-6
TEL 0859-25-0351
URL https://www.nichirasu.com/