(有)芯和 常務取締役 高橋和子氏(栃木)
2002年、(有)芯和(高橋和子常務取締役、栃木同友会会員)はパソコン教室としてその歴史をスタートさせました。現代表は、当時22歳という若さでこの道に飛び込み、初期の事業形態は全国的に展開していたフランチャイズのパソコン教室の経営でした。640校ある中で全国1位に輝いた実績を持ちます。この成功が同社の基盤をつくった一方で、フランチャイズの形式でいいのかという疑問から独自路線へと切り変えていきました。
転換期と若き挑戦者たち
2011年、同社にとって大きな転換期が訪れます。国の事業として展開されていた氷河期世代の就労支援対策に携わり、その人たちにパソコン操作を教えることとなりました。この時期に初めてパート社員を採用するなど規模を拡大する中、写真やデザインを学ぶ生徒たちとの出会いがあり、その出会いからデザイン事業を模索することになります。
同社は障害者へのパソコン指導も手がけており、その中で利用者から「パソコンを使って仕事をしたい」という要望が上がってきました。こうした声を受け、「デザイン」と「福祉」を結びつける新しい事業を模索し始めます。
福祉とデザインの融合
経営理念「コトのデザイン」が生まれた背景には、利用者のニーズだけでなく、同社が抱える課題があります。福祉事業を通じて多くの企業や団体と関わる中、それぞれの魅力・価値をどのようにPRするかを考え続けてきた結果、それぞれの魅力を引き出し、ブランド化するという、「コトのデザインを通じて和をひろげる」という独自のビジョンが形成されました。
事業を整理する中で、場所やモノに縛られずに、働く「場」としての機能を重視して事務所を移転するなど、「場」の定義が変わることで、デザインを軸にした、新しい働き方を提案する企業に生まれ変わりました。
同友会での学びと経営指針の進化
高橋氏は、障害者就労支援委員会をきっかけに同友会と出合いました。初めはその意義を実感できなかったと言いますが、2019年の経営指針受講後にその考えは変わります。「自分たちだけが悩んでいるのではない」と気づいた高橋氏は、他社の課題解決の報告を通じて自社の課題に気がつき、経営指針をブラッシュアップしていきます。その結果、社員や顧客に対する考え方が明確になり、より一層の成長をめざすことができるようになりました。
その過程でクライアントと深い信頼関係が築け、モノをつくるだけにとどまらないブランディング事業がスタート。2024年に手掛けている仕事の一つが、福祉事業を営む会社の商品「箱庭たまご」です。働きやすい環境のもと、障害のある方が生産・販売を行うたまごは一つ一つ手作業で収穫され、その品質の高さが好評を呼んでいます。クライアントの現場社員やさまざまなステークホルダー・地域とも連携し、時間をかけて育てていくブランディングが始まりました。
新たな雇用とAI時代への挑戦
2023年には新しい採用方法を導入し、デザイナースタッフを中心に、会社を共にデザインする仲間を迎え入れています。「コトのデザインで和を創る」という理念を具体化するために、社員の多様性に向き合い、それぞれの個性を会社の方向性に結びつけられるよう地道に取り組み続けています。
今、同社が抱える課題はAI技術の活用やDX化、人材評価の数値化といった先進的なテーマへと広がっています。しかし、22年にわたる歴史が示すように、同社の成長の原動力は「人」と「和」にあります。これからも、「コトのデザイン」を通じて、地域や社会に新たな価値を提供し続けていきます。
(有)芯和 | |
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設立 | 2003年7月 |
資本金 | 300万円 |
従業員数 | 3名(役員含む) |
事業内容 | 企業向けデザインブランディング事業、広告制作、ホームページ制作、デザイン教育事業 |
住所 | 〒321-0132 栃木県宇都宮市雀の宮7丁目26-25 |
電話番号 | 028-689-8730 |
URL | https://cocowa.co.jp/ |
箱庭たまご https://haconiwa.co.jp