【第37回】国産大麦を使用した麦芽販売への挑戦 (株)コダマ 専務 児玉和憲氏(宮崎)

(株)コダマ 専務 児玉和憲氏(宮崎)

 精米の小売業を主としてきた(株)コダマ(児玉和憲専務、宮崎同友会会員)。コロナ禍以降大幅な赤字体質が継続し、早急な売上増、粗利益確保の必要がありました。さらに今、米不足による価格高騰で精米販売は大きな苦境の中にあります。これを乗り越えるための取り組みが、国内では大企業2社しか取り組んでいない麦芽の製造、販売です。

創業80年の歴史

 1945年に児玉氏の祖父・虎次郎氏が精米小売業を開業。その後、父の富喜夫氏が「児玉虎次郎商店」を創業して宮崎県経済連の指定業者となり、米の仲介業と同時に農業資材の販売を始めました。84年に株式会社コダマに改組し、和憲氏は1997年に大学卒業と同時に専務として入社。社員数は3名でした。
 日本の主食である米は、食糧管理制度が1995年に廃止されたことにより生産、流通、販売が自由化され、農家は市場の需要に応じて米を生産できるようになりました。消費者は多様な種類の米を選ぶことができ、価格競争により米の価格が下がる傾向が見られ、仲介業を担う同社の売り上げは急速に減少していきました。

外部環境の変化と事業拡大

 その後、 同社は1999年から発芽玄米の製造と販売を始め、当時は地元日向市への配達では年間50㌧を扱っていました。白米や玄米の利益率が2%であるのに対して発芽玄米は22%。また、コンビニエンスストアのおにぎりの商品開発・新工場建設準備室の担当や、せんべい工場の品質管理、穀物の洗浄工場の建設、生産管理体制の立ち上げなど次々と手を打ち、2006年には雑穀米・小袋穀物の販売を開始。社員は8名になりました。
 大手ドラッグストアなどへの卸も開始し、生産設備や充填ラインを増設。社員は12名になり3交代制でフル稼働しますが、売上高は増えるものの利益率は年々減少。ドラッグストアの薄利多売とエリア拡大計画について行けず、2018年に納品から撤退すると社員7名が自主退社し、さらに新型コロナウイルス感染症の流行で、地元飲食店や惣菜工場などが軒並み休業したことにより売り上げは激減しました。

新事業への挑戦

 そんな中、取引先の商社から「焼酎ブームの下降で国産の焼酎用麦が余っている。コダマが持っている技術を活用して麦芽をつくれないか」という相談がありました。麦芽はウイスキーやビールの原料となりますが技術的に加工が難しく、国内産麦の価格も高いため、外国産に依存しているメーカーがほとんど。崖っぷちの経営状況の打開策を模索していた児玉氏は、一縷の望みをかけて麦芽製造への挑戦を始めます。
 「糖度と残渣の関係がわからなかった時期は、大麦の『芽を出させること』が目的になってしまい、糖度が上がっていない製品を製造していました。納品先より『その製品状態では使用できない』と言われ、糖度と残渣の関係について研究し、現在は糖度14以上と社内基準を設けて製造しています」と児玉氏。鹿児島のウイスキーメーカーの協力も得て試行錯誤を重ね、2023年2月に事業再構築補助金の認可を受けたことで設備を購入して量産化を開始。2024年度は同社の売り上げの2割弱に成長しました。
 ジャパニーズウィスキーの輸出量は年々増え続けており、海外からの注目度は高いと言われています。為替の関係で輸入麦芽と国産の価格差は縮まり、国内産へのニーズが増していることを背景に、今年度は売り上げの半分を担う主力事業に育てようと力をいれています。
 今年から、同友会でヒントをもらった、売上高、製造原価を中心とした数値的目標管理を導入、全社員参加の月1回の品質管理会議、スキルアップ勉強会の開催も始めました。さらに新商品の販売にも取り組むなど、社員一丸となって年商1億円以上、粗利益率の向上という今期の目標に向けて歩を進めています。

(株)コダマ
設立 1945年
資本金 2,650万円
社員数 11名(うちパート2名)
年商 7,482万円
事業内容 穀物加工業
住所 宮崎県日向市新生町1丁目100番地
電話番号 0982-52-2308
URL https://kodamaltd.com/