【第40回】美しい村づくり~循環型農業をめざして~ (株)みやぎ農園 代表取締役 小田 哲也氏(沖縄)

(株)みやぎ農園 代表取締役 小田 哲也氏(沖縄)

 「私たちは微生物と共存する農業を通して、持続可能な『美しい村づくり』をサポートします」これは、(株)みやぎ農園(小田哲也代表取締役、沖縄同友会)の創業以来の基本理念であり、後に「毎日の暮らしにおいしさと幸せを」という理念を追加しています。

 二代目社長の小田氏は、大学院まで植物の研究に没頭。世界の食料危機を救う可能性があるスケール感のある研究でしたが、研究だけでなく、畑に近いところで実際に働いてみたいという熱が高まり、卒業後はドイツに渡り1年間の農業研修に参加します。その研修で同期として知り合ったのが、みやぎ農園の現会長の娘で現在の奥様でした。

こだわりの平飼い

 みやぎ農園では、創業者である宮城会長が研究に研究を重ねたこだわりの「平飼い」でたまごを採っています。国内の平均的な養鶏場での飼育羽数は8万5千羽のところ、みやぎ農園では1万5千羽前後。少ない羽数での飼育、それがにわとりをケージに入れないこだわりの「平飼い」です。

 「平飼い」は微生物資材を活用し、自由に動ける環境で飼育することで、臭みが抑えられたよりおいしいたまごを産めるようになります。また、餌はにわとりが好んで食べるものを観察し、自分たちで発酵飼料や刈りたての青草も入れた自家配合飼料を使用しています。

 また「平飼い」と微生物資材を使った飼育の強みは、特別な資材や飼料・手間が不必要であることや糞や食べ残しの掃除の必要がなく、良質な微生物で発酵させ森の腐葉土のような鶏糞になることにあります。そのため、無駄な労力を省くことができるようになりました。消毒や抗生剤などは一切使っていないことも、みやぎ農園が自信を持っているポイントです。 サルモネラ菌などの悪玉菌を消毒で殺すことなく、土着菌や微生物資材により制御できていて、自然なバランスが保たれ、悪玉菌が暴れない環境を保てています。

 そんな平飼いのたまごは評判を呼び、今では県内で「みやぎ農園さんのたまごは違う」と出荷してもすぐに売り切れる人気ブランドたまごとなりました。

美しい村づくり

 形や色が悪かったりして出荷できないタマゴを生かすために生まれたのが人気商品のマヨネーズです。適切な処理を施さなければ環境を汚す鶏糞も肥料として販売し、それでも余った鶏糞は相性の良いオクラとショウガの栽培に使用。環境負荷をかけないようにして、観光産業との共存を図っています。また、形や大きさが悪く出荷できないショウガから、新商品「スパイシージンジャーシロップ」が生まれました。

 有機野菜の栽培、食品加工、契約農家の青果物栽培管理、その販売と次々と事業を広げ、海外への輸出・農業技術移転も行っています。

海外の養鶏を支援

 みやぎ農園の取り組みは、人づてでブータンまで評判が届き、ブータンの農林省畜産局の方も沖縄までみやぎ農園の視察に来ています。みやぎ農園の考え方と、「これが人々を幸せにすることなのか?」という判断基準を持つブータンの国としての考え方が似ていることから、実際にみやぎ農園からスタッフが渡航し、現地の養鶏をサポートしています。

 さらに、農業支援にも力を入れており、微生物と鶏糞を活用した農業グループを立ち上げ、勉強とつながりの場を作っています。「養鶏で30年結果を出してきたことは畑でもできるのでは」と始めた沖縄微生物農業ネットワークでは、毎月の勉強会に20~30名の農家が集まっています。

顧客と直接触れ合う

 同社は、契約農家さんへ微生物資材と鶏糞を廉価で配布し、経費を低く抑えた循環型農業を広げることに力を入れています。また、量販店の支援のもと、県内での新たな作物の産地づくりの活動にも取り組み、西表島ではじゃがいもの生産を始めています。

 理念にある「毎日の暮らしにおいしさと幸せを」は、生産者・関わった農家・販売先・そして顧客、全ての人が幸せを感じられるようにとの思いが込められています。小田氏は、スーパーなどでの販売の他にもフードイベントにも積極的に出店し、BtoBだけでなくBtoCでお客さまと直接触れ合うことも大切にしています。

(株)みやぎ農園
創業 1988年
創立 2008年
資本金 1366万円
従業員 28名(うちパート・アルバイト12名)
住所 南城市大里字大城2193
TEL 098-946-7646
事業内容 農業、卸売業、食品加工業(平飼い鶏卵の生産から販売、農畜産物を活用した青果物の生産・仕入・販売、加工食品製造)
URL https://www.miyaginouen.com/