【第41回】人と人とのつながりを大切に~社員とあてにし、あてにする関係へ~ (株)北村製作所 代表取締役 北村 裕嗣氏(大阪)

(株)北村製作所 代表取締役 北村 裕嗣氏(大阪)

 東大阪にある(株)北村製作所(北村裕嗣代表取締役、大阪同友会会員)は「金属加工の駆け込み寺」として金属加工の切削業を営む会社です。8年前に北村氏が36歳の時に独立して設立しました。

独立までさまざまな経験をする

 高校生の時、将来やりたいことが特になかった北村氏。大学ではゴルフサークルに入り、卒業後は自分で1から何かしたいと思い、初めて自分からやりたいと思えたプロゴルファーの夢を追いかけますが、なかなか稼げず、厳しい生活を耐える日々が続きました。

 初めから3年と決めていたプロゴルファーの道は諦め、紹介された鰹節屋で働きます。その後、モノづくりがしたいとの思いからネジ屋に就職しますが営業に配属され、モノづくりがしたいとの意思を伝えますが取り合ってもらえず退職。その後、切削をしている製造業からスカウトされ、そこで切削の技術を学びました。

自分で道を切り拓く

 ある日、作業をしていると社長から「明日に回したらいい、納期遅れていいやん」と言われました。その時「丁寧かつスピーディーに作業し、納期もきちんと守りたい」と思うと同時に「サラリーマンではなく自分で道を切り拓きたい」という昔からの想(おも)いを思い出し、独立を決断。旋盤を退職金代わりにもらい、オークションでボロボロの安い機械を買い集めて、事業資金50万円で切削の事業を始めました。

 日中は営業に回り、深夜にかけてもらった仕事をコツコツと丁寧にスピーディーに行う日々が続きます。その継続が積み重なり、依頼先との信頼関係が生まれて仕事が増えていき、翌月は30万円の売り上げを達成、それから順調に売り上げを伸ばしていきました。

 その後、取引先の社長から自社を買ってほしいと言われ、引き受けることを決めました。

トップダウンから社員とあてにしあてにされる関係へ

 (株)北村製作所として新たなスタートを切り、仕事も順調に増え、社員も少しずつ増えてきたころ、お世話になっていた信用金庫の支店長から同友会を紹介され例会に初めて参加。入会しすぐに指針セミナーを受講しますが、内容が怪しく感じたと言います。しかし、商工会議所の勉強会に参加した際に、指針セミナーで聞いた理念やビジョン・方針・計画の話があり衝撃を受け、そこから同友会に参加するようになりました。

 仕事も同友会も手を抜くのは嫌で、1分1秒時間を大切に使い、どちらも真剣に取り組んだところ、仕事がうまく回りはじめました。しかし、やりたいことが増え、トップダウンでいろんなことに取り組んでしまい、赤字を出してしまいます。そんな時、一緒に指針セミナーの助言者をしている会員の先輩から「しんどそうやなあ、話を聞こか?」と声をかけられ、赤字のことを包み隠さず話すと「誰でもそんな経験はある。諦めずに頑張り続けることが大切や」と言われ、その言葉を励みに、無駄な経費を削減し、売り上げが変わらずとも利益が250万円出るようになりました。そこから現在まで黒字が続いています。

 トップダウンになっていたこと、忙しそうにしている社員を手伝うことができず、反対に迷惑をかけていた自分に気づき「今まで自分の思い付きで取り組んで、みんなに負担をかけて赤字を出してしまった。その反省を生かしていい会社にしたい」と社員に謝罪し、それから社員の意見を尊重するようになりました。

 社員は「自分で段取りを考えてやっているので大丈夫です。納期は必ず守ります」と意思を伝えてくれるようになり、そこからあてにし、あてにされる関係、社員に任せる経営が少しずつできるようになってきたと語ります。また、社員が自主的になるために、自分自身、忍耐力を身に付けることが大事だと学びます。

最後に

 「もし同友会に入っていなければ今の会社はなかった、真剣に自社経営を語り合えるのが同友会の魅力」と話す北村氏は、自分がしんどいときにしてもらったように指針セミナーで悩んでいる受講生に「諦めたらあかん。継続する事が大切や」と声をかけられるようになったとのこと。

 どんな時も不満を言わずに支えてくれた奥さまは「経営者として成長したね」と言ってくれるそうです。奥さま 、社員、同友会の仲間、今まで自分を助けてくれた人たちに感謝し、縁を大切にしながら、自社のビジョン実現に向けて取り組んでいきます。

(株)北村製作所
創業 2017年7月
設立 2019年7月
資本金 100万円
年商 5,500万円(令和6年度6月期)
業務内容 金属の切削加工
社員数 6名
所在地 大阪府東大阪市西堤本通西2丁目4番2号
URL https://www.kitamura-ss.net/