
ピーアイエス(株) 代表取締役 庄司 潤一氏(山形)
ピーアイエス(株)(庄司潤一代表取締役、山形同友会会員)は、山形県東根市で省力化自動装置や精密部品製造を行う会社です。かつては人材の定着に大きな課題を抱えていましたが、「人を生かす経営」へと舵を切ったことで、社内は劇的な変化を遂げつつあります。
売上至上主義の代償、離職率50%超と組織の分断

コロナ禍で2代目社長に就任した当初、庄司氏の目標は「売り上げを上げて利益を出すこと」でした。その結果、売り上げは伸びたものの、それまでに採用した84名中44名が離職するという、深刻な事態を招きました。当時は「辞めたら次を採ればいい」と、人が定着しない本当の原因に向き合えていなかったと庄司氏は振り返ります。
社内の2つの事業部(女性中心の生産事業と男性中心のFAシステム事業)は完全に分断され、互いの名前も仕事内容も知らない「2つの会社」のようでした。身内で役員を固めた「庄司家の会社」であり、社員から見れば、「身内中心の会社」「社長の会社」と映っていた面もありました。
経営指針での気づきと「みんなの会社」への決意

転機は2024年に受講した、「経営指針をつくる会」での学びでした。社員を最も信頼できるパートナーと位置づける「人を生かす経営」に触れて猛省した庄司氏は、社内アンケートを実施。そこには「トップダウンで管理職の権限が弱く一部にパワハラがある」「ブラックな面がある」といった厳しい本音が並び、深く打ちのめされました。
しかし、ここから庄司氏は「家族の会社」から「みんなの会社」への変革を決意しました。全社員で10年ビジョンをつくろうと、10年後を描く「未来会議」を開きました。ブレインストーミングを行い、自社のありたい姿を出し合ったところ、400枚もの付箋に意見が書き出されました。これをもとに経営指針を策定し、発表会を行いました。さらに、それまで非公開だった経営数字を全面公開し、「今期の目標を達成するためには、みんなでどう動いていくか」を社員自身が考える体制への移行を図りました。
ライフステージに寄り添う「働きやすさ」の実践
女性社員が半数を占める同社は、結婚、出産、育児、介護などライフステージが変わっても働き続けられる仕組みを「ちょっと働きにくいよね」という社員の声に応える形で整えてきました。
急な子どもの看病などに対応できるよう、有給休暇の3日前申請というルールを廃止し、当日申請を可能にしました。また、毎週水曜日をノー残業デーとするほか、男性の育児休業取得も「当たり前のこと」と働きかけ、情報共有と多能工化に取り組む中で男女ともに育休取得率100%を達成しました。
さらに、部署の壁を取り払うため、複数の部署の社員からなる「6つの委員会」を立ち上げ、ルール決定や企画書作成を社員自身に委ねています。自分たちで決めたルールを全員で守ることを大切にしています。月1回の社内勉強会や、生活に役立つiDeCoやNISAを教え合う「ステップアップ塾」も開催し、生活者としての学びにかかる費用も会社が全額負担しています。
経営者の仕事は「人づくり」

庄司氏は「よい人がよい品質を作り、仕事が来る」という先代の教えに立ち返り、経営の本質を「人づくり」に見いだし、社員が成長や挑戦、安心、誇りなどを実感できる「豊かな働き方」の実現をめざしています。
取り組みを進めた結果、ユースエール、健康経営優良法人、やまがたスマイル企業(ダイヤモンド)、えるぼしなどさまざまな外部認定を受けました。
「外部認定は取得して終わりではなく、そこからが本当のスタート。対外的に公表した事実は、自社が『女性や若者が生き生きと働ける職場』であるという宣言であり、同時に、今ここで働く社員に対する約束でもあると捉えている」と庄司氏は語ります。
最終目標は、社員が退職時に「この会社で働けて良かった」と思える組織にすること。社員全員が、「自分たちの会社」と誇りを持てる組織にするために、庄司氏の挑戦は今後も続きます。
| ピーアイエス(株) | |
|---|---|
| 設立年 | 1987年 |
| 資本金 | 300万円 |
| 従業員数 | 48名(正社員43名(内男性19名、女性24名)、パート5名) |
| 事業内容 | 省力化自動装置の製造、精密電気・電子機器部品の製造、工芸用植物の栽培と工芸品の製造、販売 |
| 住所 | 山形県東根市大字蟹沢777番地の7 |
| 電話番号 | 0237-42-3707 |
| URL | http://www.pis-y.co.jp/ |










