(株)ハート 代表取締役 堀内 章氏(愛媛)
(株)ハートは創業1952年、堀内章社長(愛媛同友会会員)は三代目です。事業内容はアイデア玩具菓子・催事ギフトの企画・販売で、簡単に機械化できない手加工でパッケージし、大企業に真似できないことが強みです。クリスマス商品は全国シェアNo.1の33.7%で、季節商品菓子のリーディングカンパニーです。
同友会入会がきっかけの新卒採用
新卒採用は2015年5月に愛媛同友会に入会して、合同企業説明会に誘われたのがきっかけです。それまでは退職が出ればハローワークなどで補充する形でした。
2015年度当時は合同企業説明会で5名も面接し、1名採用に成功。計画的な採用ではなかったため当初は面接のみで内定後のフォローもせず、当初内定者が「親から『本当に内定もらったの?』と言われた」というほどでした。翌2016年度には同友会の実践に倣い、会社見学会を実施。工場内など各部署の説明を行いました。ところが内定を出すも2人とも辞退。「2015年度は学生が説明会ブースに多数きて意外な評価だと喜びがありましたが、まだまだ評価されていない現実を見た」と堀内氏は言います。
2017年度は会社見学の日程を事前に決め、学生が必要としている情報は何か、社内ミーティングも実施。社長の話や交流をメインにした内定式も初めて行いました。こうして2018年度(2019年3月卒業)7名を採用することができました。県外の学生もいます。
これらの共同求人の取り組みは、例会で社員年表を作成した実践を聞き、自社に取り入れて定年退職者を「見える化」し、体制を整える次のビジョンのために社内体制をシミュレーションしたことで、計画的な採用が重要だと分かるようになりました。堀内氏は「同友会では生きた情報を多くもらい、学んだことを素直に自社で実践し『まずはやってみること』が大事」と言います。
新卒採用による社内の変化
新卒採用を始める前は「一人で育ちなさい」という企業文化だった?ハート。入社1年目社員を育てるには「何からすればいいか?」から始まり、手探り状態でした。まず社内研修として1週間の各部署の座学を始め、メンター制度を取り入れて、自分の部署以外の社員にも新入社員にかかわりを持つ機会を設けました。
また、同友会が2017年に愛媛大学社会共創学部の授業を引き受けたことをきっかけに、初めてインターンシップを受け入れ、プログラムも作成。社員自ら会社のことや自分の仕事・役割を考えるよい機会となり、インターンシップも「社員教育の一部」と話す堀内氏。同様に、新卒採用開始にあわせて採用1年目の社員も自社をプレゼンし社員自身で説明資料を更新するなど、自ら考える社員教育につながりました。
よい社内風土づくり―社員教育5つのとりくみ
(株)ハートは2014年から社内で5つのとりくみを委員会活動で行い始めました。
①環境整備運動 床ピカピカキャンペーンなど多彩な活動を行います。
②あいさつ運動 月曜日は運動の推進委員が玄関に並んで大きな声であいさつ。
③サンクスカード運動 素直に感謝の気持ちを伝え合い、毎月数百件のカードが飛び交っています。
➃共育会運動 経営者・社員・パートも共に学び成長する運動です。2018年度は理念研修を年4回行いました。
⑤ブランド価値向上運動 子ども参観日、バザー、地域イベントなど会社の良さを家族や地域に知ってもらっています。
委員長は必ずしも役職者によらず、リーダーを決めています。委員会活動を通じて役職者でなくともリーダーシップを発揮する機会があり、社員の適性・レベルが分かり社員教育にもつながりました。
また、労働環境改善として定時退社を徹底、正社員の残業は平均5時間程度です。生産性向上で「その人しかできない仕事」をなくし、部門長が先頭に仕事内容を共有し、相互補完する取り組みを行います。突発的な仕事も全体で応援する企業風土ができています。
新しいことを常に提起しても、社員がついてこないこともありました。「社長、それだれがするの?」とそこには仕事で手一杯の社員の姿がありました。新しい事業、会社の成長のためには人材を採用しなければならず、共同求人は粘り強く継続して行うことが大切です。「業績が上がったから採用するのではなく、成長させるために採用する。『利益を人に投資する』ことを大事にしたい」と堀内氏は語りました。
社員さんの声
氏名:山田 真梨子さん(製造部)入社1年目
Q1.仕事内容
取引先の協力企業・外注の窓口です。加工所との連絡・伝達、出荷事務作業や製造方法の説明、困りごとも聞いたりします。
Q2.入社の動機
玩具業界に関心があり、大手の有名な企業も多数試験を受けましたが、会社の雰囲気がよく自分の素を出して臨めたことが理由です。「女性の力を信じている」という堀内社長の言葉にも魅かれ、会社でスキルアップして成長できると感じました。
Q3.社内の雰囲気
それほど上下関係がなく、社内の呼び方は「さん付け」の企業文化です。1カ月に1回メンターとの面談もあり、手厚くケアされています。大企業と違って、互いに顔が見えて知り合い、助けてくれる人がいるという雰囲気がとても良いと感じています。
経営理念
私たち(株)ハートは、生活に潤いを与える『夢文化創造企業』として、お客様の「楽しい夢と笑顔と信頼」を創出します。また、豊かな創造力と高い業務品質を追求し、社会に貢献する活力ある企業を目指します。
会社概要
創 業:1952年
資本金:9,300万円
年 商:52億8,000万円
事業内容:玩具菓子・催事ギフト
クリスマス シェア 33.7%(1位)
バレンタイン シェア 5.2%(4位)
ホワイトデー シェア 10.2%(3位)
従業員数:146名(パート83名)
URL:http://heart-ltd.jp/