
(株)ファイヴエーカンパニー 代表取締役 間宮 孝洋氏(東京)
アルバイト先で金髪長髪だったヘビメタ青年が、正社員となったある日、マイクをゴルフクラブに持ち替えた──と書くと、やや物語的に感じられるかもしれません。しかし、そこには理由があります。「どうせ付き合いでゴルフをやらなければならないなら、しっかりやろう」という、間宮孝洋氏((株)ファイヴエーカンパニー代表取締役、東京同友会会員)の物事への向き合い方が表れているからです。間宮氏はヘビメタ・ロックシーンに心を躍らせ、90年代半ばまで夢を唄い続けたバンドマンでした。その後、アルバイト先だったビルメンテナンス業の社員となり、やがて独立を果たします。
業務サポート部ハッピー化

現在、同氏が率いるファイヴエーカンパニーには、常時600名を超える清掃スタッフが在籍しています。業務は大きく3つ。まず、マンションやオフィスの日常清掃です。日常清掃スタッフの平均年齢は72歳、最高齢は89歳。「毎年100名ほどが入れ替わるため、人手不足や人件費の上昇は大きな課題ですね」と間宮氏は語ります。社員たちは、これら清掃スタッフのマネジメントを担っています。
その中でも特にユニークなのが、2019年に誕生した「業務サポート部ハッピー課」です。現課長の田村さんは、以前から「何をやってもうまくいかない」という悩みを抱えていました。ある日、退職するスタッフと担当物件へあいさつに行った際、依頼主の皆さんが花束を持って並び、スタッフに感謝を伝える姿を目にしました。また別のスタッフからは「あなたは備品を忘れたりしておっちょこちょい。でも、私の話を聴いてくれるからうれしいの」と声をかけられました。これをきっかけに田村さんは、「当社で働くスタッフ一人一人を幸せにしたい」と強く思うようになります。
「当社は多くの日常清掃スタッフさんにとって人生最後の職場になる。であれば仕事を楽しんでほしい」と考え、社内で構想を重ね誕生したのがハッピー課です。現在も、退職するスタッフには「卒業証書」を渡し、誕生日には手書きのメッセージを送るなど、温かい文化が育まれています。これはまさに、社長が常々語る “何ごとも時間を使うならしっかりやろう” の姿勢が社内文化になった姿です。
若者の働く場をつくる

続いて2つ目の業務が、ポリッシャーや高圧洗浄機を積んで行う「定期清掃」、3つ目がバイクで巡回する「巡回清掃」です。これらの業務を担うのは比較的若い世代です。同社が若者の働く場をつくるようになったきっかけは、2017年に多様性委員会の森下彰氏から「ニートや引きこもりと言われる若者に働く機会を提供している。手伝ってくれないか」と声をかけられたことでした。
若者の集まる会合に参加した間宮氏は、その真剣さに衝撃を受け、「社会との接点を自社で提供できるのではないか」と考え、実践を始めました。その結果、社会とのつながりをつくり、外に飛び立つ若者が増えました。同社で働き続ける若者も多く、彼らの存在は会社の大きな力になっています。「給料より、自分の居場所が見つかったことがうれしい」という声も届いています。
間宮氏は「当社にはもともと“居場所”を大切にする風土がある」と語ります。その背景には、バンドマンから正社員になった1997年に、ある本をきっかけにミッションステートメントを書いた経験があると言います。「当時はミッションを夢と同じように捉えていました。でも今は違います。ミッションとは“与えられた命をどう使うか”だと思うのです。だから若い人にはありのままの自分を大切にしてほしい」と語ります。
「あるがままでいい。当社はその力になりたいし、そういう場所でありたい。そして、一人一人が自分の夢を語り、それを使命へと育てていってほしい」。その言葉には、深い思いと確かな願いが込められていました。
| (株)ファイヴエーカンパニー | |
|---|---|
| 設立 | 2003年9月1日 |
| 社員数 | 本社社員36名(登録スタッフ約600名) |
| 事業内容 | 建物清掃業(日常清掃、定期清掃、巡回清掃など) |
| 住所 | 東京都世田谷区松原1-34-16トーア明大前マンション1F |
| URL | https://www.5-a.jp/ |










