
(有)奥進システム 代表取締役 奥脇 学氏(大阪、中同協障害者問題副委員長)
システム開発やホームページ製作などを手掛ける(有)奥進システム(奥脇学代表取締役、大阪同友会会員)は、正社員11名のうち9名が障害者です。「あえて雇用しているわけではなく一緒に働けると思った人がたまたま障害者だった」―労働環境が過酷とも言われるIT業界の中で、奥脇氏は誰もが働きやすい職場づくりを進めています。
障害者雇用のきっかけ

2006年、奥脇氏は脊髄損傷によって全身麻痺のある方と出会います。「社会と関わっていたい」との強い思いを受けて同社での職場実習がスタート。すると、腕の力を使ってマウスやキーボードを操作し、システム開発までこなせることがわかり、自社の戦力になると雇用に至りました。現在はプロジェクトリーダーを務めており、同社にとってなくてはならない存在となっています。前職の長時間残業が原因でうつになった社員は、1日3時間・週3日勤務からスタートして徐々に勤務時間を延ばしていきました。精神障害は見た目で気づきにくく、本人にもわからない体調変化もあることから、実習期間中に必要な配慮などを確認しています。さまざまな人材を受け入れてきた奥脇氏は、「経営理念があったからこそ実習受け入れや雇用ができた。工夫することで会社の仲間になれる可能性があり、小さな会社だからこそ取り組める」と話します。
徹底した仕組みづくり
奥脇氏は、経営指針成文化セミナーの受講を目的に2002年に同友会に入会しました。入会後は障害者雇用をきっかけに大阪同友会の障害者部に所属し、2017年からは中同協障害者問題委員会の副委員長を務めています。「労使見解には経営者として根本的に考えるべきことが網羅されており、考え方や経営の原点がある」と話し、現在特に重視しているのは、共に育ち合う風土を社内に構築することだと言います。
同社はコロナ前から在宅勤務を導入しているほか、短時間勤務を取り入れたり、朝早く出勤して残業時間を貯蓄し、いざというときの休暇に振り替えたりと、多様な働き方を組み合わせています。その土台には、就業規則や社内ルールの整理など徹底した仕組みづくりがあります。例えば、報告・相談をしやすくするための「30分ルール」は、自分で悩むのは30分まで、それを超える場合は他者に相談するというユニークなもの。相談を受けた社員は断ってはいけないのもルールです。また、伝達ミスを防ぐために必ず記録を残すようにし、指示が通らなかったときこそ仕組みを見直すチャンスとしています。チャットツールやウェブ会議も積極的に活用してコミュニケーションを容易にし、AIも全面的に採用。『企業変革支援PGVer.2』をフル活用しながら、幹部と共に見直しと改善を繰り返しています。
さまざまな仕組みや制度を設けることで、障害を理由に特別な対応をすることはありません。「障害者と一緒に働いているという感覚はなく、社員の成長がなければ企業の成長はない。自信と尊厳を持って自ら仕事に取り組める環境づくりこそが社長の仕事。社員が幸せを感じなければ経営している意味がない」と熱く語ります。
共に生きる社会へ

同社が自社開発した体調管理の日報・雇用管理システム「SPIS(エスピス)」は、障害がある方の職場定着と、共に働くことを支援するプラットフォームです。全国150社以上で導入されており、各個人が項目を設定して自分の体調・気分や生活リズムをチェックし、ウェブ上で本人と職場担当者、また外部支援者が簡単に結果を見られる仕組みです。記録はグラフ化して見やすく表示され、自己理解が進んで自己管理能力が育まれ、どのような配慮が必要かを明確にすることもできます。
奥脇氏は、「障害者雇用に限らず、生きづらさを感じる障壁をいかになくしていくかが、共に生きる社会の実現につながる。経営環境がよくなれば障害者雇用も広がっていく。自社にできることを続けていくことが重要」と力強く語りました。
| (有)奥進システム | |
|---|---|
| 設立 | 2000年 |
| 資本金 | 400万円 |
| 事業内容 | WEBソフトウエア開発 |
| 従業員数 | 12名 |
| 所在地 | 大阪府大阪市中央区鎗屋町2-2-4 イチクラビル4F |
| TEL | 06-6944-3658 |
| URL | https://www.okushin.co.jp/ |










