(有)沖縄ホテル 代表取締役 宮里 公宜氏(沖縄)
沖縄ホテル(宮里公宜代表取締役、沖縄同友会会員)は、「沖縄観光の父」と呼ばれた宮里氏の祖父が創業した沖縄での観光ホテル第1号です。創業は1941年でしたが、1945年に戦争により消失。その後1951年に営業を再開しました。購入した赤いレンガ造りの建物は現在も敷地内に残っており、当時の雰囲気を今も伝えています。
宮里氏が沖縄ホテルに入社したのは今から18年前。当時は本土に就学しており、ホテルを継ぐことは考えていませんでした。しかし、沖縄ホテルは経営状況が悪化し、大好きだった祖父が創業したホテルに携わりたいと覚悟を決め地元に帰ります。そこから現会長である父より事業承継を行い、5年前に現職に就任しました。
同友会には2017年1月に入会。同友会での学びの実践として、ホテル休館日を利用した全員参加の経営戦略合宿は、3日間に渡り経営戦略・10年ビジョン作成に取り組み、会社で共有をはかります。経営理念は「守礼商才」。創業者の意思を創業理念として残し、社員と一緒に考えました。
15カ月間の休館!決断に込められた思い
2020年4月に緊急事態宣言が発令されました。沖縄ホテルのコロナ禍初年度の売り上げは前年の50%減。コロナ禍2年目はさらに約80%減にまでなりました。当面コロナは終息しないと見通しを立て、2021年4月から15カ月間休館という大きな決断をしました。休館をしていた最初の4~5カ月間、まずは社員を守るため、出向の手続きに奔走します。出向先は同友会の企業や紹介を通して製造業、介護福祉業などで、改めて同友会のつながりをありがたく感じることができました。残りの10カ月間は、銀行と借り入れの話を進め、融資が受けられたことで同友会企業の協力を得て改修工事に取りかかることができました。また、同友会の経営者と関わる中で多くの𠮟咤激励をいただき、改修工事を行いながら2022年9月より段階的に営業を再開しました。
沖縄伝統文化の継承に他団体とコラボ!
営業再開後も宴会部門は撤退したままで、なんとか宴会場を利用できないかと考えた時、地域貢献として沖縄の伝統文化の継承などの取り組みを思いつきました。例えば沖縄県三線製作事業協同組合や漆喰組合などとの共同イベントです。地域の方々が参加する姿を見て、イベントを行うたびに沖縄の伝統文化を学びたい人たちが増えていると実感しています。今後、同友会でも会議・会合などを通じてこの取り組みを広げていきたいと考えています。
コロナ禍で見えた方向転換。誰もが憧れるホテルへ!
コロナ前のターゲットは修学旅行生や家族、合宿などが中心でしたが、今はターゲットを個人旅行に方向転換し、改修工事で個室を増設しました。今後の目標について宮里氏は「まずは宿泊業をなるべく早くコロナ前の水準に立て直したいです。今はまだ閉じている宴会部門ですが、そちらも今後、利益が出せる体質にもっていきたいです。ホテル業界は人手不足で、機械化、AI化を取り入れているホテルもありますが、沖縄ホテルは人対人のコミュニケーションを大切にしています。今後は、同友会の合同企業説明会に参加し、新入社員を採用しながら業務についての標準化に取り組み、この人しかできない仕事はなくしていきたいと考えています」と語ります。社員さんが働きやすい環境をめざし、だれもが憧れる職業としてホテル業界が選ばれるように、社員の待遇改善、就業規則の見直しにも取り組んでいきます。
コロナも落ち着き、日に日に宿泊するお客様が増えてきています。今後さらにお客様が増えていく中で、社員が楽しくしっかりと仕事に取り組んでいるか常に気を配りながら、経営の再建に取り組みます。
会社概要
創業 | 昭和16年2月11日 |
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資本金 | 4,900万円 |
社員数 | 20名 |
年商 | 3億円(コロナ前) |
事業概要 | ホテル旅館業 |
住所 | 〒902-0066 沖縄県那覇市字大道35番地 |
URL | http://www.okinawahotel.co.jp/ |