(株)ユニコン 専務取締役 橋本浩司氏(山口)
(株)ユニコン(橋本浩司専務取締役、山口同友会会員)は、山口県下関市の関門海峡を見渡せる高台にある下関市営国民宿舎「海峡ビューしものせき」の運営や高速道路サービスエリアの運営、飲食店FCチェーン事業を運営しています。
コロナ前の事業展開
高速道路サービスエリア2カ所と海峡ビューしものせきの3施設を委託運営していましたが、過去にサービスエリア1店舗の契約を継続できなかった経験があります。その時に、事業規模が縮小したことで自社の持つ飲食業に関するノウハウを生かすことと、何より従業員の活躍の場所を取り戻すためにフランチャイズ(以下、FC)業態にチャレンジをしました。そして、それら店舗を増やしていった2020年、コロナ禍に突入し経営環境は激変。当初計画していたすべてのプランを見直すことになりました。他社より事業を引き継いだ飲食店「からと屋」の改装リニューアルの計画も延期となり、メイン事業となる「海峡ビューしものせき」の休館や飲食店の時短営業の結果、2019年度に33億円あった売り上げが翌年は約半分まで落ち込みました。
コロナ禍の対策
売上半減という恐ろしい状態の中ではありましたが、コロナ禍にあっても、従業員の給料を全額保証しようと決めました。橋本氏は「当時私は全額保証に反対していました。社長を信頼しているからこその意見でした。そして社長は耳を傾けてくれる。その上での反対でしたが『従業員の皆さんにはできる限り安心して働いてほしい。そのためならいくらでも銀行に頭を下げる』と、強い思いの返事で全額保証が決定しました。今、振り返ってみてその決断が大いに正しかったと思っています」と語りました。
苦しい時も全従業員と共に進み、会社を存続させるためにとった対策は、「資本性劣後ローン」です。この制度は、元金返済は当面行わずともよく返済期日までは金利のみを支払います。その後返済期日が来た時に一括返済をするという仕組みです。その他、雇用調整助成金や補助金等も活用しましたが、劣後ローンの金利を払い続けても会社全体で頑張って利益を出していこうとアフターコロナを見据えてさまざまな取り組みを進め、延期していた飲食店のリニューアルや新たなFC店舗を2店舗オープンしました。
その後、政府の旅行支援や世の中の雰囲気も変わってきて、半減していた売り上げが2022年には32億まで回復しました。「コロナが5類になったことも追い風になったとは思いますが、同友会で学んだこともかなり影響している」と橋本氏は言います。山口同友会の社員共育委員会主催のリーダー研修会に橋本氏自身も社員と共に参加し、同じ研修を受けた社員が増えることにより共通言語のようになって理解し合い、結束が強くなっていったのです。また、その研修を基に全従業員が見ることのできるユニコン専用の研修動画を作成しました。コロナ期間中に人と人との接触に制限がかかってしまい通常の研修ができなかったことを踏まえての動画資料にしたそうです。
今後の展開
コロナも落ち着き、今後の展開について橋本氏は「コロナで打撃を受けたものの、2023年度は順調に推移し、創業以来、最高売上ならびに最高利益を記録しました。コロナ期間中でも将来を見据え計画してきたことを従業員全員が実行してくれた成功体験を自信に変え、新しい事業展開を進めていきたいと考えています。さらに、今年度は定期昇給プラス、久しぶりのベースアップをします。このことでさらに従業員がモチベーション高く仕事に取り組んでくれると確信しています。これからも地域に必要とされる企業をめざし、従業員と共に挑戦し続け、成長し続けていきます」と力強く語りました。
(株)ユニコン | |
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設立年 | 1971年 |
資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 450名(パート・アルバイト含む) |
事業内容 | 高速道路サービスエリア運営・市営国民宿舎管理運営・飲食店FCチェーン事業 |
住所 | 山口県下関市中之町2-8 |
電話番号 | 083-223-1511 |
URL | https://ssl.unicorn-sc.co.jp/ |