【第8回】SDGsの取り組みで自社の魅力を再発見 (株)クラユニコーポレーション 代表取締役 倉田 基史氏(三重)

(株)クラユニコーポレーション 代表取締役 倉田 基史氏(三重)

ユニフォーム業界の特性を生かしたSDGsへの取り組み

 三重県津市に本社を構え、ユニフォームの製造販売を行う(株)クラユニコーポレーション(倉田基史代表取締役、三重同友会会員)は、愛知、岐阜、三重のエリアで、あらゆるジャンルのユニフォームを企画・製造・販売しています。同社の強みは、豊富な見本と高い提案力にあります。自社工場があることで、営業担当が服づくりの現場をよく知り、お客さまの要望に合わせて丁寧な提案ができるようになっています。これを強みとして、同社は地元の企業、工場、病院などのさまざまな場所で働く人たちの業務に適した服装を提供してきました。

 そして近年、同社はSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を経営に取り入れています。同社のSDGsへの取り組みは、2019年に倉田氏が社員に説明会を行ったことから本格的に始まりました。まず行ったのは自社の活動を整理することでした。その過程で、同社がすでにSDGsに貢献していたことに気づいたのです。

 ユニフォーム業界は古着の再利用に特に適しています。その主な理由は、多くのユニフォームが綿だけやポリエステルだけなど、単一素材で作られているため、容易にリサイクルできるからです。また、日本の会社ではユニフォームが統一されているため、同じ形と素材の服をたくさん集めやすいという点もあります。このような業界の特徴から、クラユニコーポレーションも知らずにSDGsの考え方を実践しており、実際にリサイクル商品や地球にやさしい商品の提案を行っていました。

社会貢献と新たな事業展開の両立

 この気づきをきっかけに、クラユニコーポレーションはさらに積極的にSDGsに取り組んでいきます。例えば、子ども用の白衣や妊婦さん向けの事務服を無料で貸し出すサービスを始めました。これらのサービスは、医療機関との連携が深まったり、働く女性を支援したりすることにつながっています。

 さらに、使わなくなった漁網を再利用して作られた「アップサイクル」(廃棄物や不要品を新しい製品に生まれ変わらせ、元の製品よりも価値を高める取り組み)ユニフォームの取り扱いを開始し、主に水族館のスタッフや漁業協同組合向けに販売する予定です。この取り組みは、ゴーストネット(海中に放置された漁網)や海洋汚染問題の解決に寄与しながら、新たな顧客層の開拓につながっていくと見ています。

SDGsの効果と今後の展望

 SDGsへの取り組みは、当初、本業への効果が見えにくい、コストがかかる、優先順位がわからないなど課題や懸念がありました。しかし実践してみると、多くの具体的な効果をもたらしました。社員の意識が向上し、SDGsに関連する商品を掲載するチラシを社員の提案で作成。学校での講演依頼が増えるなど、地域との結びつきが強まりました。

 また、SDGsの取り組みは新たな営業ツールとなり、販売機会の拡大につながっています。採用面でも効果が見られ、SDGsへの取り組みに共感して県外から入社を決めた新卒社員もいます。倉田氏は「SDGsの取り組みを通じて、自社の魅力を再発見し、企業価値を高めることにつながった」と語り、今後は地域の他企業にもSDGsの考え方を広め、地域全体の企業価値向上に貢献したいと考えています。

(株)クラユニコーポレーション
創業 1912年
資本金 2,000万円
従業員数 50名
年商 12億円
事業内容 白衣・事務服・作業服の販売製造
住所 〒514-0032 三重県津市中央12-1
電話番号 (059)226-8911
URL https://kurauni.co.jp