【第9回】社員の成長が会社の成長 (株)共和建商 代表取締役社長 増子国安氏(福島)

(株)共和建商 代表取締役社長 増子国安氏(福島)

 福島県白河市に本社がある(株)共和建商(増子国安代表取締役社長、福島同友会会員)は、社員の成長を軸に企業の未来を描く中小企業です。建設機械のレンタルや工事業務を中心に、雑貨店の経営や墓石・仏壇の販売、調圧ルームの製造・販売といった多岐にわたる事業を展開しています。その成功の裏には、社員の主体性を尊重する経営スタイルがありました。

誇りを持てる職場づくり

 増子氏は、娘婿として共和建商に入社。東日本震災の翌年、2012年に専務に就任した際に、それまでの自分に甘い態度を改め、経営者としての責任感を持ち始めます。そして会社を継ぐ覚悟を決めました。2017年には、突然の社長交代が行われ、社長就任。自分はどんな会社にしたいか考え、社員が誇れる会社をつくるという決意を固めました。

 社員が働きやすい職場づくりが、共和建商の重要な柱です。まず、有給休暇の取得を促進し、社員が休みやすい環境を整えました。また、障害者雇用やSDGs、DXなどの社会的課題にも積極的に取り組んでいます。例えば、初めてのシニア雇用では79歳の従業員が清掃業務を担当し、その姿勢が他の社員にもよい影響を与えています。また、女性社員の待遇改善も行い、女性社員の給与を月2万円以上引き上げたことで、会社全体の士気が高まりました。

挑戦を許容し、成長を促す

 月14~15回のミーティングは、社員の主体性を引き出す場として機能しています。否定することなく、社員が自由に意見を述べられる環境を整えることで、社員が主役となる場となっています。社員が自主的にテーマを決め、協議することで、全体的な成長と新しいサービスの創生、新規顧客の獲得につながっています。

 また、社員の成長を促すため、自由にアイデアを試せる場も提供しています。地域で頑張っている果樹園を応援しようと雑貨屋での梨の販売や、こども支援事業への寄付など社員が提案したことから地域応援プロジェクトが始まりました。時には、失敗するだろうと分かっている提案もあります。しかし、それが真剣に会社のためを思っての行動で、お客さまに迷惑をかけないのであれば許可します。たとえ失敗したとしても、社員がそこから学び、次へつなげることに期待しているからこそできる決断です。一方で、無責任な行動には厳しく対処します。このように、厳しさと柔軟さを両立させることで、社員の主体性と責任感を育てているのです。

経営理念の共有と社員の成長

 社員の成長が会社の成長に直結すると考え、社員が日々の行動を通じて経営理念の内容を自然に実践することをめざしています。実際、共和建商では、営業未経験で入社した社員が、今では年間2億円の売り上げを立てるまでに成長しています。社員が挑戦し、成長を実感できる環境を提供することで、社員のモチベーションは高まり、定着にもつながっているのです。

 社員一人一人が3年先を見据えて行動し、全ての行動に目的意識を持つことが重要ですが、そのためには、社長自身も学び続ける姿勢が不可欠であり、同友会などの場を活用して常に自らを高め、会社全体の成長に反映させています。

 共和建商の成功は、増子氏の社員に寄り添う取り組みと、社員の成長を中心に据えた経営戦略によるものでした。社員の成長が、共和建商を持続的な発展へと導いているのです。

株式会社共和建商
設立年 1976年
資本金 1000万円
従業員数 60名
事業内容 土木建築用機械総合レンタル
住所 〒961-0015 白河市田島舘ヶ崎4-1
電話番号 0248-29-2231
URL http://www.kyowa-kensho.co.jp/