和新工業(株) 代表取締役 森 仁志氏(福岡)
和新工業(株)(森仁志代表取締役、福岡同友会会員)は津波避難用階段や法面点検階段、ラック・台車・パレットなどの物流関連製品などを製造・販売しているオーダーメイド金属製品メーカーです。
森氏は、現在は会長を務めている同じく同友会会員の父・茂博氏から2019年に社長を引き継ぎました。そして社長だけではなく企業変革支援プログラムの全社的実践も会長から引き継ぎ取り組んできました。
社長ひとりの取り組みからみんなの取り組みへ
和新工業(株)では2010年に当時社長であった現会長が一人で企業変革支援プログラムに取り組み始めました。そこに幹部社員数名が加わり、現在は社員を巻き込んだものへと進化してきました。同社では、次年度経営方針発表に向けたキックオフとして毎年定期的に企業変革支援プログラムに取り組んでいます。幹部と各部門から選出した代表者が会社の状況をチェックし、前年比で評価の差が大きい項目、全体的な評価が低い項目、各自の評価の差が大きい項目などを中心に現在の会社の課題を抽出します。さらに全社員で実施しているSWOT分析の結果も掛け合わせて次年度の経営方針・計画に反映させる流れとなっています。各自の評価の差が大きな項目については評価の理由につき各自が率直に意見を出し合います。このとき、相手の意見が自分とは違っても否定しないことが重要だと森氏は言います。どちらが正しい、間違っているではなく会社の状態や課題を捉え、明確化して企業変革につなげていくことがみんなの共通の目的だからです。
会社のこと=自分ごとに
抽出された課題をもとに方針が立てられた後は、バランススコアカードを活用して具体的な計画にしていきます。各部署では毎月のPDCA会議で計画の進捗状況を確認しています。社員が参画することで、トップダウンではない自分たちの声をもとに作られた方針であることを感じられ、社内の一体感も高まっていきました。社員にとっては、企業変革支援プログラムに取り組むにあたり全社的な視点が求められることで、自分の担当業務以上に視野が広がり、会社の方向性を自分の業務に落とし込むことにつながりました。経営者にとっても、自らの立場では気づけていなかった現場の社員目線で捉えた会社の課題を知る機会になりました。会社のことをみんなが自分ごととして考える意識が出てきたのです。
多くの気づきが企業変革の力に
企業変革支援プログラムを通じて明確化した人や組織の課題が、業務の属人化を防ぐ必要性や新卒採用の重要性への気づきとなり、市場や顧客の変化という課題がコロナ禍での営業強化を考えるきっかけになりました。地域や環境、企業の社会的責任への意識の高まりがBCP策定やSDGsへの取り組みにもつながっています。顧客のもとで老朽化した同社の物流機器製品の修理や改良を通じ、新たな使いやすい製品に生まれ変わらせる同社の『“もったいない”から始まるみらいプロジェクト』もその気づきが根底にあったのかもしれないと言います。企業変革支援プログラムの実践が会社についてのさまざまな気づきにつながるならば、取り組みが社内に広がるほどその気づきの数や機会も多くなっていくでしょう。
森氏は言います。「企業変革支援プログラムに取り組まなかったからと言って直接経営に影響はないのかもしれません。取り組んだからすぐに課題解決につながるわけでもありません。最初は社長一人で、徐々に社員を巻き込んでいくということでもよいと思います。企業変革支援プログラムは点取りゲームではありません。社員が経営陣に遠慮して現実以上の評価をする必要もありません。まずは『0』を『1』に、次は『1』を『2』にできるよう一歩ずつ取り組んでいくことが大切なのではないでしょうか」。
和新工業(株) | |
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創業・設立 | 1973年7月 |
資本金 | 48,000(千円) |
従業員数 | 社員27名・パート3名 |
年商 | 400,000(千円) |
事業内容 | 法面点検・津波避難階段の製造・販売。物流機器の製造・販売。土木建築用型枠の製造販売、レンタル。有害鳥獣捕獲罠の製造販売。 |
住所 | 福岡県朝倉郡筑前町山隈1279-1 |
電話番号 | 0946-23-0711 |
URL | http://www.washin-kogyo.co.jp |