かなえ経営(株) 代表取締役 佐野 元洋氏(奈良)
“強い会社”へのこだわりを原点に
佐野氏(かなえ経営(株)代表取締役、奈良同友会会員)は、税理士事務所と経営サポートの株式会社を創業し、同時期に同友会にも入会。義父が経営する会社の倒産を目の当たりにした経験から「絶対に倒産させない・強い会社をつくる支援」にこだわり続けてきました。やがて同友会で学ぶ中で、財務的な強さだけではなく「自主的近代化」と「強靭な経営体質」の両方を兼ね備えた会社こそが強い会社である、自分がイメージしてきた“強い会社”と同友会が示す“よい会社”はイコールであることに確信を深めていきました。
未来を描き、持続可能な経営をめざす支援
創業時から、税理士として税務会計業務は当然のベースとしつつ、決算書・試算表では過去の会計しか扱えないことには物足りなさを感じていました。そんな時に出合った「未来会計」という考え方に共鳴し、経営計画の立案と達成管理をめざす会計人材が集まる「あんしん経営をサポートする会」に参加。会社の未来をどう作るか考え、経営計画にして実行するという、成り行き任せでない経営の支援を事務所の柱としていくことにしました。
決算分析もAIができる時代になる中で、会計人がすべき一番の仕事は経営者との対話だと断言する佐野氏。対話を通してどんなことがしたいのかを掘り下げ、会社の未来をつくる道筋を描く。数字を通して会社や業界の構造を考えていく楽しさから始まり、改善ポイントを分析し実行プランを一緒に考えて、実際に改善したら喜びを分かち合う。 税理士試験の受験者数も減少の一途をたどっている昨今、そんな醍醐味がある仕事だということを若い人たち、特に子どもたちに広げていく広報活動も担っています。
社会の変化に応えて事業の柱を立てていく
いわゆる2025年問題では、経営者が70歳以上の127万社で後継者が不在か未定、その半数が黒字経営でGDPにして22兆円、雇用650万人分の消失が指摘されています。加えて佐野氏は「数十年以上その道で仕事を積み重ねてきて得られた信用・ブランド・取引先は、新しい会社がどんなにお金を積んでも買えない財産。非常に価値があるのに、経営者自身がその価値に気が付いていないことがもったいない」と強調します。
顧問先から後継者不在の廃業相談を受け、「M&Aも面倒だしお金が欲しいわけじゃないから」と言われるケースもありました。利益を出している=社会から必要とされている経済主体である企業が持続していく可能性を広げたいと、事業承継のプラットフォーム「ツグナラ」の大阪・奈良の相談窓口を開設し支援をスタートしました。またその間口を広げるために来年から一般向けの「相続の相談室」サービスも開始予定です。たまに相談を受けるという“待ち”の形から、明確に事業の柱として位置づけて育てていこうと考えています。
もっと経営者目線を持った伴走を
独立する前、事務所の所属税理士として担当していた顧問先の経営者から「佐野さんは社長ちゃうもんな、責任も取らんでええし」と言われ衝撃を受けました。経営者と同じ目線で話をしたいという思いが募りやがて独立開業しますが、社員にビジョンが見えないと迫られたり、大量離職にあったりなど苦しい経験もし、経営理念、社風づくり、なにより経営者である自分の姿勢を問われます。それでも進み続けたのは、経営者の思いを受け止め苦労を分かち合いつつ一緒に未来を創る、そんな税理士像を描いてきたからでした。経営課題は、社会の変化とともに様相を変え次々に企業に迫ってきます。佐野氏は経営環境の推移を見据えて自社がカバーする範囲も広げながら、未来に向けて強く持続可能であろうとする企業を支える伴走者をめざします。
かなえ経営(株) | |
---|---|
創業・設立 | 2003年7月 |
資本金 | 570万円 |
従業員数 | 8名 (うちパート1名) |
事業内容 | 経営サポート業 |
経営理念 | 「持続可能な強い組織をつくるためのパートナーである〜経営サポートを通じ、社員、お客様、その社員その他関わるすべての人々の幸せに貢献する〜」 |
URL | https://kanae-keiei.co.jp/ |